「拝金主義」が蔓延している北朝鮮では、大学の成績さえも賄賂の額で決まる。こうした理不尽な状況に不満を持つ学生たちが抗議活動を行う騒ぎが起こったという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、騒ぎが起こったのは道内にある名門の清津医学大学だ。

「1学期の期末試験が終わった数日後、校内に成績が貼りだされたが、それを見た多くの学生たちが騒ぎ出した。授業をサボってばかりの金持ち学生が上位クラスで、熱心に取り組む学生の成績より上だったからだ」

幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)などの裕福な家庭の学生は、教授や大学職員に賄賂をわたし「成績を上げて欲しい」と頼みこんでいたのだ。

大学の成績は、卒業後の「職場配置」にも大きく左右することから、学生たちもシビアだ。「賄賂」のことを知った学生たちは大学側に激しく抗議するが、なかには「どうせ賄賂で決まるんだから、一所懸命勉強しても意味がない」と嘆く学生もいる。

大学の成績さえも賄賂がモノを言う原因は、北朝鮮の給与水準が実際の物価を反映したものではなく、大学教授たちの生活がままならないからだ。北朝鮮でも他国と同じく、大学教授の給与は、一般労働者より高めだが、国営の企業や機関の全体的な給与水準そのものが異常に低いために、相応の待遇とは言い難い。

ちなみに、大学教授の月給は、北朝鮮ウォンで約5000ウォン。公式レートでは50米ドルほどだが、実質の闇レートでは1ドルにも満たない。北朝鮮で4人家族が、最低限の生活をするためには、一月に中国人民元で400元(54万ウォン、約8000円)ほどが必要だ。大学教授の月給5000ウォンでは、せいぜいコメ1キロ分しか買えない。

北朝鮮の多くの一般庶民は、市場に出て副業で生計を立てるが、幹部や役人、教授などの権力側が、賄賂で生計を立てているのだ。

拝金主義の根本的原因は、いびつな給与体系や為替レートだが、かつての中国と状況は似ている。ただし中国の場合、給与体系がかなり現実を反映したものになっても賄賂の習慣は消えていない。長年の賄賂文化に慣れてしまい、「法に則った面倒な手続きをするなら、さっさとカネで解決したほうが楽」と言う思考から抜けられないからのようだ。

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