北朝鮮の若者が憧れる職業といえば、社会的に強い立場に立てる労働党幹部や人民保安部(警察)、保衛部(秘密警察)の職員などだったが、ここ最近は変わりつつあると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋はその理由を、最近、北朝鮮住民の間で出回っている冗談話を引用して説明した。

「金正恩氏は、党幹部を堂々と殺し、司法機関の幹部は事情も聞かずに殺し、保衛部は見えないところで殺し、軍の幹部は無駄口を叩く間も与えず殺し、高級幹部は高射砲で殺し、貿易イルクンはまとめて殺す」

朝鮮語では韻を踏んでいるこの風刺は、責任を取らされる立場にあるといつ殺されるかわからないという今の状況をよく表している。

このような状況下で若者たちは、カネが儲かる上に責任を取らなくていい職業が好むようになっている。

咸鏡北道の情報筋は、かつて若者の間で羨望の的だった党幹部などは今ではすっかり不人気職種となり、変わってIT技術者、教員、医師などが人気の職業に浮上したと伝えた。

金日成総合大学や各地方大学の医学部には幹部の子どもたちが殺到し、入試競争が熾烈になっているという。病院勤めではさほど儲からないが、個人診療所を開けばかなりの儲けになるからだ。

このような現状を指して、情報筋は「試練の60年、苦難の30年」と表現している。金日成、金正日政権の60年間に渡って続いた試練をなんとか生き延びてきたが、金正恩氏はまだ若いので、今後30年間は苦難が続くだろうという意味だ。

出身成分が良く、兵役終了後や大学卒業後に労働党に入党するのが北朝鮮の出世コースだったが、幹部に対する粛清が相次ぐ現状で「地獄の入口に立っている人」(情報筋)になろうとする若者はすっかりいなくなってしまったという。

今の幹部たちがいなくなった時、北朝鮮を動かすのはいったい誰なのだろうか。

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