中朝国境に面した北朝鮮の町が中国人観光客を対象に行っていたサイクリングツアーが中止になったと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

北朝鮮の外国人用ホテルで出される朝食の一例。あっさりしていて日本人には概ね好評だが、中国人には物足りないかもしれない。
北朝鮮の外国人用ホテルで出される朝食の一例。あっさりしていて日本人には概ね好評だが、中国人には物足りないかもしれない。

サイクリングツアーは、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の図們市が、豆満江を向かいにある北朝鮮の穏城(オンソン)郡に提案し、昨年5月から始まった。しかし、中国人観光客の評判がイマイチで、中止になったという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、同地域の経済特区開発指導局が、中央から「海外からの投資を全く誘致できていない」と叱責されていたという。ちょうどそこに転がり込んできたのが、「サイクリングツアー企画」観光業を活性化し、外貨も稼げて、中央からも褒めてもらえると見込んで、経済特区開発指導局はこの話に飛びついた。

ところが、いざツアーが始まってみると中国人観光客からの評判は散々。

見所といえば、中国人民解放軍が朝鮮戦争に参戦したことを記念する「抗米援助烈士記念碑」「旺載山(ワンジェサン)記念碑」ぐらいしかない。それもイマドキの中国人からすれば、それほど興味を引くような名所でもない。

さらに、穏城郡が手塩にかけて養成した子どもたちの芸術公演も、中身は金正恩氏を褒め称える個人崇拝ばかりで、中国人観光客からはそっぽを向かれてしまった。旅行の楽しみの一つである食事も中国人観光客を満足させられなかった。

こうした悪条件に加えて、北朝鮮当局はエボラウイルスの国内流入をブロックする名目で約5ヶ月間も外国人観光客の入国を禁止する「プチ鎖国」を実施。結局、中国人観光客に逃げられてしまい、ツアーが中止に追い込まれてしまった。

RFAの情報筋は、ツアー中止の責任は当局にあると指摘する。

「メシは美味くない、見るものはない、道路は危ない、などツアーの悪評判が広まって、ツアー以外でも中国人の集客に悪影響が出ている。基本的な観光インフラの整備なしで、その場しのぎの金儲けに走るから中止になってしまった」

ただし、「穏城1日ツアー」と「七宝山(チルボサン)ツアー」は従来通り続けられるという。穏城1日ツアーは午前9時に徒歩で国境を超え、記念碑や子どもたちの公演を見て食事を楽しんで午後3時過ぎに中国に戻るもので、費用は5~600元(約1万~1万2000円)ほど、七宝山ツアーは3泊4日で1700元(約3万4000円)ほど。

また、イギリス人が経営する北朝鮮専門旅行会社「コリョツアー」は、欧米人向けに北朝鮮サイクリングツアーを企画している。こちらは9泊10日で2590ユーロ(約35万円)とかなりの高額だ。

デイリーNKジャパンが、北朝鮮を訪れた複数の観光客に聞いたところほとんどの旅行者が、「工夫すれば北朝鮮ツアーはもっと魅力的になる」と答えている。北朝鮮が、本気で観光業を活性化したければ、海外の声を反映した魅力的なツアーを企画する柔軟な発想が必要だろう。

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