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しかし現在の情勢下で、日本が経済支援を行うなどあり得ないということを、北朝鮮としても良くわかっているはずだ。仮に、北朝鮮が拉致問題で誠実に対応したとしても、弾道ミサイル開発と核開発の問題が残る。北朝鮮がこれらを放棄しなければ、米国などとの協調を重視する日本が、本格的な経済支援に動く可能性はゼロだろう。

それに北朝鮮も、最近親密さを深めているロシアとの協力関係や、アフリカや中東での武器取引を通じ、経済制裁に対する耐性を強めている。日本との貿易再開は、現在の北朝鮮にとって死活的な問題ではないとも考えられる。

結論を言おう。北朝鮮が日本との交渉で時間を引き延ばしているのは、国際社会の「人権包囲網」に抜け穴を作るためだ。

金正恩氏は、自分が「人道に対する罪」に問われることを最も恐れている。この罪名の下、国際刑事裁判所で訴追されることになれば、彼の血塗られた手と握手を交わそうとする外国の指導者はほとんどいなくなる。まだ若年の正恩氏はこれからの長い人生を、世界と断絶されたまま過ごさねばならない。