北朝鮮の市場には必ず「市場管理員」がいる。元々は定年後の幹部が務めていたが、徐々に追い出されていると平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきたが、その裏にはある「利権」があった。

北朝鮮の地方都市の市場
北朝鮮の地方都市の市場

平安南道の総合市場は、市の人民委員会傘下の市場管理所が管理している。管理所には所長、副所長、市場管理員(市場管理費徴収担当)、市場監督員、自転車保管員、市場商品保管兼警備員など数十人が働いている。

市場管理員や自転車保管員は、「国家有功者(戦争などで国に貢献した人)」や退職後の幹部が務めていた。しかし、ここ最近は若い女性が勤めるケースが増えている。事実、平壌郊外の平城(ピョンソン)市の市場管理員も、70代の元幹部から若い女性に変わったという。この理由について情報筋は次のように語った。

「最近、商品の盗難、商売を巡る詐欺、駐輪場に停められている自転車の盗難事故などが相次いでいる。こうしたことに市場管理所の幹部が老人の場合、対応しづらい。『市場の秩序を保つため』という名目で若い女性に交代させている」

もちろん、「市場の秩序を保つ」という理由は表向きで、真の目的は「市場管理人」というポスト。現役の党幹部が妻や親戚、知人を「市場管理所イルクン(職員)」にさせるために、老人を追い払っているのだ。

市場管理所職員の給料は、月1万北朝鮮ウォン(約150円、コメ2キロ分)に白米20キロ。額としてはそれほどではない。しかし、自転車保管料や市場使用税を着服することが可能で、月に数百ドルの収入が得られる。この額は一般の商人の収益の数十倍にもなる。

自転車とバイクの保管料は、それぞれ1時間に300ウォン(約4.5円)、600ウォン(約9円)。少額だが、車両の出入りが激しく、商売上、1日10時間以上も停車する住民もいることから着服も朝飯前だ。

さらに、市場というビジネス空間にいることから、自然と商売のノウハウも学べる「おいしいポスト」というわけだ。

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