韓国で猛威を振るっているMERS(中東呼吸器症候群)に対して、北朝鮮が警戒を強めている。

金萬有病院
平壌の金萬有病院(本文とは関係ありません)

感染者169人、隔離対象者4000人(いずれも21日現在)に達している「韓国MERS渦」について、北朝鮮の労働新聞は15日と17日の紙面で、「南朝鮮(韓国)はMERSで阿鼻叫喚の大修羅場」と報じながら、「傀儡当局(韓国政府)の対応は安逸で無責任。これは南朝鮮人民にとって伝染病より恐ろしい」など韓国政府の対応不備を厳しく非難した。

一方、北朝鮮では一人のMERS感染者も発生していない。韓国でさえも、院内感染以外の感染拡大は今現在確認されていない状況だが、北朝鮮当局は拡散防止のため過剰とも言える対策をとっているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、北朝鮮全域で、MERS感染防止のための宣伝活動や防疫活動が活発に行われている。道、市、郡の病院や衛生防疫所、洞など各地域の診療所では、毎日のように住民の検診を行っているとのことだ。

風邪の症状があったり高熱を訴えている人が来た場合の非常連絡体制、検診、隔離システムまで本格的に立ち上げられた。医師たちは担当地域を毎日、巡回して住民たちの体温チェックを行って、チェック漏れのないようにサインまで集めている。

機関や企業所では出入りを最大限減らし、中国に向かう私事旅行者には旅行証の発給を中止し、平壌への立ち入りは禁止された。やむを得ない事情で他地域に行く場合には、衛生防疫所で「疫学証明書」を受け取らないと移動が許されない。

50代以上の人は「疫学証明書」に加えて、肺炎などの肺疾患の病歴がないことを示す「健康確認書」を病院でもらわなければならないほどの徹底ぶりだ。

さらに、昨年の10月今年の4月にかけて行われた「エボラ遮断」のように、外国との貿易や人の出入りにも厳しい制限がかけられるようになった。

中朝国境の税関では、輸入品や運搬車両に対して衛生検疫担当者が徹底的な消毒を施し、中国の貿易業者との面談や招請は当面の間許可しないことにしている。

こうした北朝鮮当局の動きに対して、住民たちの間では不安が広がり、次のように語っていると情報筋は伝えた。

「南朝鮮(韓国)のようにすぐそばで伝染病が発生しているから北朝鮮で病気が広がるのは時間の問題」

「医療が発達している南朝鮮でも大騒ぎになっている。わが国(北朝鮮)で病気が広がればあっという間に広がるだろう」

北朝鮮は、遠く離れた西アフリカで発生したエボラ出血熱におびえて5ヶ月のプチ鎖国を行った。またぞろ、MERSによる「プチ鎖国実施」の可能性もある。

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