北朝鮮では、生活必需品から自動車までありとあらゆるものを密輸、とりわけ中朝交易の密輸に依存している。北朝鮮当局も密輸の取り締まりは行っているが、実は密輸は「朝鮮人民軍(北朝鮮軍)」が主体になって行われていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

北朝鮮で憲兵隊は「警務部」と呼ばれる。代表的なところでは、朝鮮人民軍総参謀部直属の「平壌警務部」や1号行事(最高指導者に関する行事)を警備する「移動警備部」。そして、各地域の軍団所属の「列車乗務警務部」などが存在する。国境地域を担当するのは地域の憲兵隊「衛戍(えいじゅ)警務部」だ。

この「衛戍警務部」が、密輸の主犯だと咸鏡北道(ハムギョンブクト)のRFAの内部情報筋は指摘した。

「警務部は、金、銀、銅などはもちろん、ニッケル、工業用ダイアモンド、モリブデンなどの各種金属から、国が所有している歴史的価値のあるもの、麻薬、薬剤、イヌに至るまで、ありとあらゆるものを密輸している。これらを中国に輸出して、食糧、肥料、生活必需品などを輸入するのだ」(RFAの内部情報筋)

衛戍警務部は、軍人を取り締まる業務の特性上、全国的な独自のネットワークを築き、鉄道、車での移動に不自由しない。さらに、密輸に使われる車両も警務部所有だ。こうした特権を活かして、カネを稼いでいることから衛戍警務部の地位は非常に高いという。

「取締が、厳しくても衛戍警務部とのコネがあれば、『朝鮮のすべての道が開ける』と言われているほどだ。しかし、密輸が横行する背景には経済難と先軍政治がある。軍が関与する密輸が続けば、わが国(北朝鮮)の資源や歴史的な遺物など、ありとあらゆるものが中国に持ちだされてしまう」

国境地帯の密輸に関しては、北朝鮮当局も大々的な取締を行っているが、相手が衛戍警務部では分が悪い。さらに、取り締まりの影響でコメの価格が上がるなどの悪影響が出るなど、住民の生活を脅かす要因にもなっている。

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