医薬品の足りない北朝鮮の医療施設では、ときに麻酔を使用せずに切開手術を行うことがある。以下はかつて、北朝鮮において傷害致死の罪で監獄生活を送った脱北者の“貴重な”体験談である。

拘留場に入ってから8日経ったときのことだ。母が面会に来てくれた。午前11時頃に警護の責任者が監房に入って来た。

「ジュナ! お前のお母さんが、この寒いのにお前にご飯を食べさせたいと言って、正門の前で保安署長の自動車をさえぎって大騷ぎになったぞ!お前のお母さんみたいな人は珍しい!いいお母さんに生んでもらったと思ってしっかりやれ!」

警護責任者の言葉を聞いとたん、涙があふれてきた。

「お母さんのお腹がふくらんでいたから、何かと思ったら、ご飯が冷えないように服の中に抱いていたぞ!」

母恋しさに「仮病」を決意

私は警護員に付いて面会室に行った。部屋には青白く凍えているお母さんがいた。

「ジュナ、お腹がすいているだろう。痛いところはないのかい。寒いだろうに、服を持って来たからまず服を着なさい!」

「大丈夫、心配しないでください」

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