中朝国境を流れる鴨緑江に面した北朝鮮の両江道(リャンガンド)で死体遺棄事件が発生した。被疑者は逮捕されたが、調査の過程で上官の「ある隠蔽工作」が明るみに出たと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

中朝国境国境を流れる鴨緑江の堤防も個人耕作地になっている。
中朝国境国境を流れる鴨緑江の堤防。

事件は、今年4月はじめに起きた。鴨緑江の中国側川岸で、北朝鮮の国境警備隊兵士の遺体が発見され、中国当局は遺体を北朝鮮側に引き渡した。

しかし、遺体の損傷が激しいことから身元が確認できず、2ヶ月後には朝鮮人民軍総政治局の指示が下り、国境警備隊司令部政治部が検閲(調査と取締)をはじめた。

その後、遺体の身元は国境警備旅団2大隊1中隊所属の入隊わずか7ヶ月の新兵であることが確認され、容疑者として大隊長と兵士合わせて8人が逮捕された。

両江道の情報筋によると、死亡した新兵は高熱と嘔吐で1週間苦しんだが治療を受けられずに死亡した。事件が発生した時期は、冬季訓練の最中で、さらに年末年始の特別警戒期間だった。

指揮官は、死亡した兵士が「仮病」を装っていると判断し放置したため死に至ったという。

事件の発覚を恐れた指揮官は、遺体を山に埋めるよう部下に指示した。しかし、凍った地面を掘るのを嫌がった兵士たちは、凍った鴨緑江に穴を開けて遺体を遺棄してしまった。その後、4月になって氷が溶けたことから遺体が中国に流れ着き事件が発覚した。

死体を遺棄するだけでなく、軍服、ブーツなど身に付けていたものを全部脱がせていたこともわかった。事件の真相は、瞬く間に口コミで一般住民の間に広まり、軍隊に子供を送った両親たちからは、不満の声が高まっているという。

現地の国境警備隊員がRFAの取材に語ったところによると、「逮捕された8人は見せしめに処刑されるだろう」という噂が広まり、現地には殺伐した雰囲気が漂っているという。

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