金正恩氏は、業績作りの一環として、両江道(リャンガンド)で建設中の「白頭山先軍青年発電所」の完工を朝鮮労働党70周年(10月10日)までに合わせよと強調しているが計画通りに進まず、追加で大量の軍人を建設現場に動員しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

「白頭山先軍青年発電所」の建設現場を現地視察する金正恩氏/2015年4月20日付労働新聞
「白頭山先軍青年発電所」の建設現場を現地視察する金正恩氏/2015年4月20日付労働新聞

白頭山青年先軍発電所は、両江道白岩(ペガム)郡を流れる豆満江の支流、西頭水(ソドゥス)の上流で建設されている3段式の水力発電所だ。2002年1月に着工し、今までは金日成社会主義青年同盟が建設を進めてきたが、13年経っても完成していない。

地質が脆い上に、落石や発破作業中に労災事故が多発しているのが理由だが、なんとかして朝鮮労働党70周年に完成させたい金正恩氏は、軍隊を大々的に投入したと内部情報筋は伝えてきた。

「突撃隊を大々的に動員して工事を進めていたが、それでも労災事故が多発したことで工期に遅れが生じている。その遅れを取り戻すために、また軍人を大量動員しているようだ」

情報筋によると、建設現場には軍団ごとに1つの師団が駆り出され、4万から5万という大量の軍人が動員されていた。

動員された軍人の半分は発電所の工事に投入されているが、残りの半分は山の中腹を削って大規模を行事を開くことが可能なスペースを作る工事に投入されているという。

「行事用のスペースを作って(金正恩氏は)業績を大々的に宣伝したいのだろう。金正日氏が2012年に煕川(ヒチョン)発電所の建設で「強盛大国の扉を開く」と宣言したように、金正恩氏は白頭山発電所を自分の業績にするつもりだ」

しかし、元々この地域は元々地盤が脆いため、発電所が完成してもまともに稼働できない可能性があると情報筋は指摘した。

「完成後に大々的に宣伝。手抜き工事のツケが出てくる。放置。いつの間にかメディアから消え去るというパターンじゃないかな」

これは、まさに北朝鮮式ハコモノ行政の王道コースだ。今まで数々の大計画がこのパターンでいつの間にか、消え去っていた。さらに、情報筋は、「金正恩氏は『人民生活を豊かにする指導者』というイメージを打ち出してきたが、失敗するのは明らかだ」と手厳しく語った。

「最高指導者が、期限を決めて工事を進めると必ず手抜き工事が多発するが、担当者もわかっていながら処罰を恐れて何も言えない。住民からは『元帥様(金正恩氏)は科学を重視すると言ってたのに、建設では科学技術工法を無視するのか』『発電所建設を田舎の堤防工事ぐらいに思っているようだ』などと非難の声が上がっている」(内部情報筋)

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