北朝鮮当局が、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)内部で玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)元人民武力部部長の処刑について箝口令を敷いているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

金正恩氏(左端)と玄永哲氏(右端)
金正恩氏(左端)と玄永哲氏(右端)

平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋は次のように語った。

「軍隊内で『玄永哲処刑のウワサ話しをすれば厳罰に処す』との指示が下された。処刑直後の今月初めには、玄永哲処刑に関して2回ほど(思想教育)講演会が開かれたが、今ではそれもなくなり、誰も彼もが口を慎んでいる」

今のところ、北朝鮮当局は「玄氏粛清」に関して張成沢氏粛清の時のように大宣伝しないと判断しているようだ。下手に宣伝すれば「なぜ粛清されたのか?」と軍部内の動揺や反発を招きかねないからだ。こうしたケースは過去にもあったと内部情報筋は指摘する。 「金日成政権時代の67年、李孝淳(リ・ヒョスン)氏、朴金喆(パク・クムチョル)氏が粛清、処刑された。直後は講演会を通じて宣伝されたが、しばらくすると箝口令が敷かれた」

玄永哲氏は1949年咸鏡北道の漁郎(オラン)郡の生まれだ。万景台(マンギョンデ)革命学院と金日成軍事総合大学を卒業後、軍の総参謀長、5軍団長、人民武力部部長を歴任するなど超エリートコースを辿ってきた。対人関係も円満だったという。

「軍隊にも、玄永哲氏を慕う軍人も多いことは北朝鮮当局も把握しているはず。中央党の箝口令には「無条件で従え」と圧力をかけているようだ」

さらに、内部情報筋は「元帥様(金正恩氏)は、自分以外の誰かを支持する宗派(分派、派閥)が生じることを極度に警戒しているようだ。軍隊内で宗派を支持する動きがあれば、またぞろ大規模な粛清の嵐が吹き荒れる恐れがある」とも語った。 軍隊内での雰囲気と同じく、一般住民たちも玄永哲氏処刑を知ってはいるが、口を慎んでいるようだ。

「『居眠りが理由で処刑された』とは誰も信じていない。何らかの陰謀があったに違いないが、そのうちわかるだろう。今は皆がおとなしくしておこうという雰囲気だ」(内部情報筋)

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