北朝鮮で、金正恩氏の「恐怖政治」が日増しに強まるなか、住民たちが当初抱いていた「期待感」は消え去り「不安」と「憂慮」が国中に広まりつつあるとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

金正恩氏(参考写真)
金正恩氏(参考写真)

平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋は次のように語った。
「高級幹部が粛清、処刑される様子を見ながら、金正恩氏の評価が急落している。処刑の噂は平壌を皮切りに地方にまで急激に拡散した。家族や親戚など近しい人々には『父親(金正日氏)よりひどい』と露骨に不満を語っている」

今年の政治講演(思想教育講演会)のなかで、金正日氏が生前に「後継者は私より10倍優秀だ」と語ったエピソードが紹介されたが、住民たちは「優秀な指導者が高級幹部を大勢粛清するわけがない。あいつ(金正恩氏)にはもう期待できない」と語っている。

さらに住民たちは、金正恩体制が聖地とする「白頭山」をもちだして不安な心情を皮肉っている。

「将軍様(金正日氏)は『白頭山の天気』のように場当たり的だった。その人が『自分より10倍も優秀』と言っていたということは、元帥様(金正恩氏)は、若気の至りで後先考えずに10倍ひどいことをするのだろう」

平安北道(ピョンアンブクト)の別の情報筋によると、金正日氏の時代とは異なり、地方幹部や保安員(警察官)たちも金正恩氏に対して露骨に非難するようになった。

さらに、住民も幹部も朝鮮中央テレビに金正恩氏のプロパガンダ映像が映ると「縁起が悪い」と言ってテレビを消すという。

若い世代の間では、金正恩氏と同じヘアスタイル「覇気ヘア」をしていると「カクテキ頭」「ヤクザ頭」とからかわれる。からかわれた方は「お前は誰を冒涜してるのかわかっているのか」と冗談で返すが、金正恩氏の暴力性を笑い飛ばすジョークだという。

さらに、金正恩氏の正当性である「白頭の血統」を非難する住民まで現れた。
「愛人の息子は絶対に王になれないはず。いつまでもこんな風に(恐怖政治)やっていると国が滅びてしまう」

愛人とは、高ヨンヒ氏のことだが、正恩氏の出自まで持ち出してまで不快感を示すほど、住民の不満は高まっているようだ。

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