北朝鮮高官が高射砲で「虐殺される場面」とされる動画が、中国のネットユーザーなどの間で出回っている。しかし検証してみると、どうも違うようだ。

北朝鮮の元人民武力部長(国防相)、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏は、先月30日に粛清・公開処刑されたと伝えられている。処刑に際しては、大口径の高射砲が使われたという。

デイリーNKジャパンでは、噂の動画を入手。その内容は、跪かされた男性が目の前に置かれた高射砲で撃たれ、上半身が木っ端微塵。下半身のみが射撃の勢いで宙に舞うという極めて残忍なものだ。この動画に対して中国のネットでは、次のような声があがっている。

「ならず者国家だ。米国の言ってることが正しい」

「こんな独裁者が流した血で固められたのが中朝友好だ」

しかし、オリジナル動画で前後の場面を確認すると、どうやら北朝鮮ではなく、武装勢力「イスラム国」(IS)による捕虜処刑場面らしいことがわかる。

動画の撮影日も、玄氏が処刑されたと伝えられている日時より前であると見られ、ISの関係者と思われる覆面の男性が「アラーは偉大なり」と叫ぶシーンが含まれている。

ネット上で拡散している北朝鮮玄永哲氏のものとされた処刑動画。男性は高射砲で上半身を吹き飛ばれた。
ネット上で拡散している北朝鮮玄永哲氏のものとされた処刑動画。男性は高射砲で上半身を吹き飛ばれた。

かつて、ポチョンボ電子楽団の元歌手・玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏の処刑説(後に生存が確認される)が広まった際にも、まったく別の女性の画像が玄松月氏だとして広まったことがあった。

2013年12月に粛清された張成沢氏の処刑後も、「生きたまま犬に噛み殺された」というデマが広まった。後に、この噂はある中国人のジョークが拡散するうちに、真実のように伝えられたことが明らかになっている。

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