北朝鮮では、韓流ドラマやK-POPは裏コンテンツとして定着しているが、化粧品や電化製品なども大人気。とくに、幹部や新興富裕層(トンジュ:金主)たちは、わざわざ中国から取り寄せるほどの執着ぶりだ。

電化製品のなかで、最も人気製品の一つが「電気炊飯器」。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、韓国製の炊飯器「クック」は、不動の人気を誇る。

以前は、日本製「メイド・イン・ジャパン」が大人気だったが、今では韓国製が取って代わった。理由は大きく分けて3つ。

一つ目は、経済制裁の影響だ。2006年に日本政府が独自制裁を発動してから、万景峰号を通じて北朝鮮へ送られた大量の日本製中古家電が入らなくなった。

二つ目は次は電圧の問題。日本製は100ボルトで変圧器が必要だが、韓国製品は220ボルトでそのまま使用できる。

三つ目は、言語の問題。韓国製は、ハングル(朝鮮語)で表記されているため便利だ。

さらに、韓国製炊飯器「クック」は、ご飯ができあがったら「ご飯が炊けましたぁ」と朝鮮語音声で知らせる。この音声が平壌言葉ではなく、柔らかな「ソウル言葉」で、なんとなく不思議でオシャレに感じるという。

ただし、いくら便利とはいえ北朝鮮当局からすればあくまでも「禁制品」。人気の韓国製品をゲットするためには、「コツ」が必要だ。

韓国製品は市場で販売されるケースもあるが、取締にかかれば没収される。では、どうするのか。

実は、「密輸業者」に直接オーダーするのだ。オーダーが入ると密輸業者は中国で製品を購入、北朝鮮まで届ける。市場や製品を購入した帰りに没収される心配もなく安心だ。

また、海外出張した幹部が、帰国前に韓国製品を購入して持ち込み、空港や駅で業者に売り渡すパターンもある。業者は注文に応じて品物を家まで配達する。このような形の輸入が最近流行しているという。

あくまでも違法だが、北朝鮮板「輸入代行」といったところだろう。

韓国の中央日報によると、製品を輸入するにあたって「SAMSUNG」のロゴの「SAM」を消したり、「LG」のロゴの「L」を消して韓国製であることを隠して輸入する業者もいる。

ロゴを消された製品は、文字を落として「スン冷蔵庫(=サムスン)」「G洗濯機(=LG洗濯機)」などと呼ばれている。幹部やトンジュは新品を買うが、庶民は中古品を買うと言う。

ありとあらゆるルートを通じてゲットすれば、あとはこちらのものだ。

韓国製品の販売は取り締まりの対象だが、使用することは比較的緩い。多くの家庭内では、念のため昼間は花柄のカバーなどかけて、目立たなくし、トラブルを避けている。

さらに、国営商店には何故か「SAMSUNG」や「LG」のロゴが、きっちり付けられた液晶テレビが普通に陳列されていることもある。こうした韓国製品は、中朝国境の新義州(シニジュ)を通じて入ってくるため、「新義州のモノ」という言葉が韓国製品の隠語となっている。

韓流コンテンツだけでなく、電化製品まで「メイド・イン・コリア」が席巻している昨今の風潮に、さすがの幹部たちも思わず本音を漏らす。

「こんなに、いい製品を作れる南朝鮮(韓国)はさぞかし発展しているのだろうな・・・」と。

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