安定していた北朝鮮市場の「コメ価格」が上昇している。中朝国境の取り締まり強化によって、コメの密輸が難しくなったことが原因だ。

板門店に程近い農村の風景©Lawrence Wang
板門店に程近い農村の風景 ©Lawrence Wang

密輸業者取締でコメ供給不足、値段上昇

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、恵山(ヘサン)農民市場のコメ1キロ価格は、昨年末は4000ウォン(約60円)前後だったが、現在は内陸部と同じ5000ウォン(約75円)まで上昇。コメだけでなく、穀物全体の価格が上がっている。

北朝鮮当局が、中朝国境の取り締まりを強化したために、コメの密輸が停滞し、価格上昇をもたらしたことは北朝鮮住民も理解している。そのせいか不満の声は絶えない。

「なんでこんなに高くなるんだろうと思っていたら、くだらない国境の取締のせいだった」

「庶民から搾り取ることしかノウのない幹部たちは取締ばかりしている」

その一方、「上からの指示があったのだからどうしようもない」と幹部に対する同情の声も上がっていると情報筋は伝えた。さらに、今回の上昇傾向によって、コメの密輸が及ぼす影響について改めて知ることになったと語る。

「以前は、よくわからなかったが、今回の取締強化で『密輸業者』がいかに多くのコメを取り扱い、いかに影響力が大きいのかを実感した。穀物を供給していた密輸業者は、姿をくらましたり、当局に逮捕されたりしている」(情報筋)

燃油価格は下落…喜ぶ人も

取り締まり強化の影響は、中国側にも及ぶと中国丹東の情報筋は語った。

「国境取締の強化の狙いは、内部情報流出と外部情報流入を防ぐことだが、中国で北朝鮮向けのコメを扱う貿易業者も打撃を受けている」

一方、ディーゼル油やガソリンなどの燃油価格は、下落している。ロシアからの大量輸入によって供給が安定しているからだ。

ガソリンは1リットル11000ウォン(約165円)が8450ウォン(約127円)、ディーゼル油は9000ウォン(約135円)が5200ウォン(約78円)と大幅に下がった。

コメ価格の上昇で燃油価格も上がるのではと心配していた住民も一段落のこと。また、トラックを使う卸売業者やソビ車(トラックバス)利用客はむしろ喜んでいると情報筋は伝えた。

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