北朝鮮の人民武力部長、日本でいうところの防衛大臣にあたる玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏が、金正恩氏の命令によって処刑されたことが韓国の国情院によって明らかになった。

参考写真:真ん中の人物が玄永哲氏
参考写真:真ん中の人物が玄永哲氏

罪名は「口答え」「居眠り」「指示不履行」。しかし、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の序列第2位に相当する大物が、それだけの理由で処刑されるのは、なんとも不可解だ。

具体的な罪名については解明を待たなければならないが、韓国の北朝鮮専門家の間では「玄永哲氏は、金正恩氏に反旗を翻したのではないか」という説が出ている。これについて北朝鮮軍の元高級幹部は次のように語った。

「玄永哲クラスの幹部を粛清すると軍隊が瓦解しかねない。それにもかかわらず処刑したということは、重大犯罪があったのかもしれない。人民武力部内に玄永哲の派閥ができたことから、見せしめで公開処刑をしたのかもしれない」

具体的な行動はなかったにしろ、玄永哲氏の些細な言動や不満が、北朝鮮軍を監視する「保衛司令部」や「労働党組織指導部」により発覚した可能性も拭えないと元高級幹部は指摘した。

「つい先日、人民武力部内に反体制勢力を鎮圧する親衛隊ができたが、そこが不穏な動きを察知したのかもしれない。張成沢派の残党を完全に粛清しきれていない状況のなかで、反体制的な動きを放置できないと金正恩氏が判断したのかもしれない」(北朝鮮軍元幹部)

一方、玄永哲氏は先月13日から20日までモスクワで開かれた国際安保会議に参加していた。訪ロで何らかの不手際があったのではないかという説もある。

金正恩氏は、5月9日にモスクワで開かれた「対独戦勝70周年記念式典」に招待されていたにもかかわらず参加しなかった。この理由について北朝鮮がロシアからミサイルを購入できなかったからという説がある。

香港のフェニックステレビは2日、ロシアの軍事専門家の次のような発言を紹介した。

「玄永哲人民武力部長は、国際安保会議の出席をきっかけにロシアからS-300ミサイル4基の購買を提案する計画だったが交渉がうまくいかず金正恩氏は訪ロを中止した」

この専門家によると、北朝鮮はミサイルを物々交換で購入することに固執。しかし、ロシアは現金取引を主張すると同時に、ミサイル売却が戦略的均衡を崩す可能性があることから、中国などの同意を受けるべきだと強調し、交渉が決裂したという。

様々な説が飛び交う玄永哲朝鮮人民軍武力部長の粛清劇。韓国国家安保戦略研究所のイ・スソク主席研究員は、次のように語った。

「そもそも人民武力部は、軍関連の広報事業を行う部署ゆえにクーデター謀議はできない。しかし、玄永哲氏は総参謀長など軍の要職を歴任していることからそれなりの人脈もあり、クーデター謀議の可能性を100%排除することも難しい」

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