北朝鮮で市場主義が、ますます拡大している。最近では市場の売台、いわば「テナント」さえも売る商売人が増えているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

北朝鮮の地方都市の市場
北朝鮮の地方都市の市場

社会主義経済が、事実上破綻した北朝鮮では2000年代に入ってからは「市場」が住民の生活を支えている。北朝鮮当局も規制しようとしたが、市場パワーには勝てずに、部分的に「統制緩和」してきた。

家電販売で儲ける

その結果、市場はますます活性化し、各地の市場ではテナント(売台=陳列台)が大幅に増加。いい場所を確保しようと商人の間で熾烈な競争が起こっていた。

さらに、市場で儲けたカネを別のビジネスに投資するために、テナントを売り出す商人が出てきた。北朝鮮当局も、こうしたテナント売買をあまり規制しないことから市場活動も比較的安定し、商売人たちは概ね歓迎しているとのことだ。

情報筋によると、恵山農民市場の工業製品売り場のテナントは2.5平米で4500人民元で売買されている。

北朝鮮ウォンに換算すると590万ウォン(約8万8500円)で、1トン半のコメ価格に相当する。(4月8日現在、恵山農民市場でのコメ価格は1キロ4000ウォン)

最近の市場では、飲食物の販売よりも布、家電、雑貨などの工業製品の利益が大きく、テナントの需要はますます増加している。さらに、転売すれば、別のビジネスの資金にもなる。

管理する「市場管理所」もテナント売買を認めていることから、大きな問題にはならない。

「お上も良くわかっている」

テナントを転売する理由はもう一つある。

市場では「営業時間外」に品物を置けず、毎日大量の商品を搬入しなければならないが、これが体力的な負担になる。ある程度、儲けたらテナントを転売し、負担の少ない小売業に転換、これこそが「北朝鮮式市場ビジネス」の必勝パターンだ。

「国境地域での検査、取締は強化されているが、市場への締め付けがなくなったことは本当によかった。思想教育講演会や建設現場への動員が多くて住民たちの不信感が高まっているところに、もし市場も締め付けたりしたら不信感はさらに高まるだろう。お上(北朝鮮当局)はその辺をよくわかっているようだ」(内部情報筋)

当局の「ものわかりの良さ」がいっそう増して、より大きな変化が起きることを期待したい。

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