京都府警と神奈川、島根、山口県警の合同捜査本部が12日、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)議長の次男・許政道(ホ・ジョンド=50)容疑者らの逮捕に踏み切った北朝鮮産マツタケの不正輸入事件。

合同捜査本部は3月26日、同事件の関係先として許宗萬(ホ・ジョンマン)議長宅の家宅捜索も行っている。

朝鮮総連議長の親族逮捕と家宅捜索は、いずれも史上初めてだ。しかし、高揚していて良いはずの公安当局者たちの間には、まったく裏腹に冷めた空気が漂う。公安幹部が言う。

「合同捜査本部と言っても、主導しているのは京都府警で、あとは“お手伝い”に過ぎない。3月の議長宅の家宅捜索の際、府警は何も押収してこなかった。実際のところ、押収すべきものがあるかどうかにすら興味はなかったようだ。あの捜索はハッキリ言って、昨年の事件での汚名をそそぐためのパフォーマンスに過ぎない」

ここで言われている「昨年の事件」とは、京都市左京区の京都大吉田南キャンパスで11月4日、極左セクト・中核派の情報を収集していた京都府警の公安捜査員が学生らに取り押さえられ、数時間にわたり拘束された騒ぎを指す。

「全国の公安関係者の中で『ありえない失態』と呆れられており、京都府警は名誉挽回に執念を燃やしている」(前出・公安幹部)

そうして行きついたのが、朝鮮総連を相手にした「マツタケ狩り」というわけだ。

一方、一部メディアが今回の捜査を、日本政府による「対北朝鮮圧力」と関連付けて報道していることについて、ベテランの公安関係者は苦笑しながらこう話す。

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北朝鮮産のマツタケ(事件とは関係ない松茸です)

「朝鮮総連が北朝鮮の資金源だったのは昔の話だ。今は組織の運営維持費にも困っているぐらいで、本国にとっては出入り業者の御用聞きぐらいの存在でしかない。そんなところを捜査しても、平壌はまったく痛痒を感じないだろう。北に圧力をかけるために総連を締め上げるというのはつまり、『サザエさん』の磯野さん家を困らせるために三河屋のサブちゃんをしょっ引くようなものだ。北が総連捜査に対してやいのやいのと言ってくるのは、単にゴネ得を狙っているからに過ぎない」

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一方、別の公安関係者によれば、北朝鮮との間で日本人拉致問題解決に向け協議を行ってきた外務省当局者は警察庁などに対し、非公式に「もっと(捜査)をやってくれ」と言ってきているという。その理由について、この公安関係者は次のように説明する。

「北朝鮮はすでに(日朝協議を)やる気が失せており、遠からず完全に決裂することになる。そうなった場合、外務省は『捜査のせいで交渉がつぶれた』と言い訳したいようだ」

北朝鮮が「やる気」を失った背景としては、ロシアとの急速な関係緊密化により、経済や国際情勢面での当面の難局を乗り切れる目途がついたことなどが考えられる。

そんな日朝にまたがるシラケた空気を尻目に、京都府警の「マツタケ狩り」はピークを迎えようとしている。

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