北朝鮮当局は、政治犯収容所「22号管理所」を3年前に閉鎖したが、閉鎖直前に、収監者が脱走して中国に脱北するという前代未聞の大脱走事件が起きた。

当局は執拗に追跡作戦を遂行しているが、未だに逮捕できていないと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

会寧市中心部の様子(参考写真) ©Raymond Cunningham
会寧市中心部の様子(参考写真) ©Raymond Cunningham

女性収監者が脱走、脱北

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)にあった政治犯収容所「22号管理所」。非常に広大な敷地の端から中朝国境まではわずか6キロほど。

22号管理所は、金正恩氏によって閉鎖されたと言われているが、北朝鮮住民たちからは、「正恩氏の政治改革への意志の現れ」として高く評価されていた。

しかし、咸鏡北道の司法関係者は異なる理由を挙げる。

「22号管理所の閉鎖は、管理所長の運転手と平壌から来た女性収監者が中国に逃げた事件が発端になっている」

運転手と女性収監者の二人は、事前に綿密な計画を練って脱北したという。運転手は、管理署長の車は検問されないことを利用して、女性収監者を車内に匿って国境の南陽まで移動。そこで車を捨てて、二人で豆満江を渡って中国に逃げたというのだ。

最高指導者になった直後で政治的経験もなかった金正恩氏にとって、前代未聞の脱北事件は、相当衝撃的だったという。事件が外部に知られ、情報が国内に逆輸入され激しい動揺を引き起こすことを恐れて22号管理所を閉鎖した。

咸鏡北道の貿易関係者によると、この事件が起きたのは2012年2月中旬だが、それ以後、国家保衛部は中国の司法機関と協力しながら大々的な追跡捜査を行った。

二人は未だ中国に潜伏

一時期、二人は「韓国に逃げた」「逮捕されて北朝鮮に強制送還された」など相反する情報が、保衛部要員や幹部の間で流れていたが、二人は未だ中国に潜伏中と見られている。

「保衛部の幹部から、逃げた二人がまだ中国東北地方を転々としているらしいと聞いた。保衛部と中国公安がアジトを何度か急襲したが逮捕は失敗に終わっている。しかし、中国にいることが確認された以上、中朝合同で執拗に逮捕作戦を繰り広げるだろう」(内部情報筋)

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