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北朝鮮・咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)に住むキム・チュンシク(仮名・45)さんは、今年に入って講演会や人民班(町内会)の会議で、朝鮮労働党の幹部がこんな話をしたと明かした。

「党から幹部たちが講演をしに来て『これから暮らしもよくなるから心配するな』と言った」
「(北)朝鮮は核実験で先軍強国になったから、既に全世界が我々を仰いで金と品物を差し出すようになった」

また、核実験が終わったから、政府も住民の生活の改善にまず関心を向けると強調しているたそうだ。しかし、しかし、住民の反応は冷笑的だ。

「信じる人はほとんどいない」
「核実験が私たちと何の関係があるのか。暮らしにはあまり役に立たないと思う」

党の初級書記はそのような空気を察したのか、「今度は嘘ではない。本当に信じてもよい」と訴えたが、キムさんは「私は自助努力で生きているので、政府は(自分たちを)苦しめさえしなければよいと考えるだけだ」と吐き捨てた。

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党幹部ですら政府のプロパガンダを嘘と思い、そんなものはとっくに信じていない一般住民をなんとかなだめようと必死になっている状況がうかがえる。しかし、それも通じないようだ。

「どれだけ嘘をついたら、党の幹部までそのようなことを言うのか。7・1措置の時も暮らしがよくなると言ったくせに、物価ばかり上げるばかりで、配給もまたやると言ったくせに、くれたのはジャガイモ数個だけだったではないか。嘘ばかりついている」
「(1990年代後半の大飢饉の)苦難の行軍の時は『道は険しいが笑いながら行こう』とか言って、これからは配給もせずに暮らしがよくなったと言っても、誰が信じるか」(キムさん)

最近のコメ価格の動向については、「3~4月は春窮期だが、農場の配給が適時にきちんとできており、まもなく外部から援助が沢山入ってくるという話も広がり、むしろ下がっている」「冬に買いつなぎしておいた商人たちは、少し損するだろう」と語った。

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キムさんは「中国から情報が次々と入ってくるというのにわからないわけがない。華僑が中国で情報を得て、随時知らせてくれる。彼らの一言で全国の物価が変わる。彼らが『南朝鮮(韓国)がコメを支援をしてくれる』と言っていた。南朝鮮のコメはいつから入って来るのか。そして、いくら送ってくれるのか」と、記者に問いただした。彼は外部の人に対して、何の警戒心も見せなかった。

(参考記事:金正日氏を「あいつ」呼ばわりする北朝鮮庶民

一方、咸鏡北道の慶源(キョンウォン)郡在住の、中国の和龍に住む親戚に会いに来たパク・チュンビン(仮名)さんは、外部の人に対する警戒心を緩めずに、北朝鮮で都市と農村の格差が大きいと述べた。

パクさんのごつごつとした手にしわだらけの顔を見ても、農場で長い間生活してきた農民であることが見てとれた。彼は生活が少しずつよくなってきているのは明らかだが、目立った変化はないと言った。

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中国に1ヶ月間滞在したというパクさんだが、記者に対して警戒心を解かず、国境通行証を見せて欲しいという我々の要求には応じたが、写真撮影は、匿名を前提にした部分的なものでも、断り続けた。

「(写真撮影は)絶対だめだ」
「保衛員(警察官)から、中国に韓国の安全企画部(現国家情報院)の密偵がやって来たと聞いた。私があなたに通行証を見せた事実が保衛部に伝わっただけでも大変だ」(パクさん)

パクさんは数年ぶりに農場で農民たちに配給を1年分与えたと語った。パクさんは「(朝鮮族の)親戚が集めてくれた中古のカラーテレビ2台、冷蔵庫1台(600元)、そして古着を少し集めて行く」と言い、車代として渡そうとしたいくらかのお金も受け取ろうとしなかった。