緑化政策を進める北朝鮮政府は、朝鮮半島で伝統的な土葬に対する厳しい規制を始めている。その一方、人々は様々な方法を使って規制の網をかいくぐろうとしている。

韓国の一般的なお墓©Hyunmin Bok
韓国の一般的なお墓©Hyunmin Bok

韓国では火葬、北朝鮮では土葬

儒教の影響を非常に強く受けていた朝鮮半島では、亡くなった人を火葬するのは「二度死なせる」としてタブーだった。韓国では90年代始めまで、人が亡くなれば山に土饅頭を作り土葬するのが一般的だったが、開発や土地価格の上昇で埋葬地の確保が難しくなり火葬が急激に普及した。

韓国保健福祉省の統計によると、韓国での火葬率は1993年に19.1%だったのが2013年には76.9%となっている。また、ソウル、仁川、釜山などの大都市では9割近くが火葬を行っている。最も低い忠清南道でも59.3%に達している。

北朝鮮での埋葬に関する統計は存在しないが、韓国と違い北朝鮮の人々は土葬を好むようだ。平壌、咸興(ハムン)、清津(チョンジン)などの大都市に火葬場はあるものの、火葬費用が高いため一般庶民にはとても手が出ない。

火葬するには申し込みが必要で、数十万ウォン(10万ウォンでコメ20キロ分)もするディーゼル油30リットルに火葬場の職員の食事まで遺族が用意しなければならない。

大八車に亡骸乗せて闇夜に紛れて埋葬

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、土葬規制を逃れるために、日が暮れてから遺体を密かに土葬する人々が増えている。

この情報筋の周りでも最近、近所に住むおばあさんが亡くなった。遺族は若者を雇って山に穴を掘らせ、夜に遺体を大八車に乗せて山に運んで埋葬したそうだ。

北朝鮮にも霊柩車が存在するが、車を使うとエンジンの音で山林監督員にバレてしまうのであえて大八車を使っているとのことだ。

ところが、葬儀も埋葬も終えてホッとひと息ついたところに山林監督員がやって来て「なぜ土葬したんだ!」と人々を責め立てたという。そのため遺族は監督員に食べ物と金を握らせ、おとなしくさせるしかなかった。

「埋める場所がないからまだ死ねないね」

韓国に比べ人口密度が低く、埋葬場所に困らないであろう北朝鮮。土葬を厳しく規制するのは、金正恩氏が進める全国山林化計画のためだ。さらに、道路から墓石や土饅頭が見えると美観を損なう、国の品位が下がるから土葬をやめろとの指示も中央から下された。

既にあるお墓も道路から見えないところに改葬させたり、墓石が見えないように倒させたり、土饅頭を削って平らにさせたりしているという。

老人たちは「埋めるところがないんだからまだ死ねないね」と冗談を言ったり「植民地時代にも土葬をやめろと言われたけど、またそんな時代になったね」と当局を批判したりしている。

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