さらにその理由としては、直前にミスを繰り返していた運転士が会社からの懲罰的な指導を恐れるあまり、「注意が運転からそれたことによるものと考えられる」と指摘。同時に、JR西日本の運転士管理方法に問題があった可能性に言及している(クリック⇒参考)。
事故の発生直後、JR西日本に対するマスコミの批判は、草むしりや反省文の果てしない書き直しなど、ミスをした乗務員への懲罰的で「見せしめ」的な指導方法、いわゆる「日勤教育」に集中。同社の「営利優先」「ダイヤ至上主義」から来る過密な乗務スケジュールと「日勤教育」への恐怖心が、運転士を異常心理に追いやった、との論調が大勢を占めた。
調査委員会の報告は、この見方が正しかったこと裏付けた形と言える。
そしてより重大なのは、JR西日本が事故発生のはるか以前に、こうした問題点を認識していたことだ。
デイリーNKジャパンが入手したJR西日本の内部文書は、平成3(1991)年12月16日に同社内で開かれた「総合安全対策委員会」での議論に基づいて作成されたもの。A4用紙の2枚組で、うち1枚には「『責任事故の名称の一部変更』の考え方について」(以下、「考え方」)とのタイトルが付けられている。(クリック⇒ 全文 )
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「責任事故」とはJR西日本の内規に定められた用語で、社員の取扱いミスによる事故のうち、死傷者が発生するなど結果が重大か、もしくは「酒酔い」によるなど原因が悪質なもののことをいう。
そしてもう1枚は、同文書について「早急にその趣旨の徹底」を図るべしとする鉄道本部から関係各部署に宛てた通達だ。
これらの中で目を引くのは、「考え方」にある次の記述である。