金正恩体制が、労働新聞の部数増大に力を入れているが、庶民からは「使えない」と不評だという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

参考写真:太陽節を前にした故金日成氏の写真特集/2015年4月13日付労働新聞
参考写真:太陽節を前にした故金日成氏の写真特集/2015年4月13日付労働新聞?

無理やり割り当てて部数増やす

北朝鮮の労働新聞は、本来は「朝鮮労働党」の機関紙だ。しかし、労働党一党独裁の北朝鮮では、金正恩体制の政策や主張を代弁する新聞である。

1980年代に労働新聞は300万部の発行部数を誇っていたが、90年代後半の「苦難の行軍」を境に部数が激減した。

プロパガンダ、いわゆる「宣伝扇動事業」は、権力維持に欠かせないと重要視していた故金正日氏は、労働新聞の部数を増やそうとしたが、その狙いは遂げられないまま死去。金正恩時代になってからは、最も多かった時期の10分の1ぐらいの30万部を維持するのがやっとだった。

こうした状況を見かねてか、金正恩体制は「労働新聞の記事の質、内容を向上し、大衆的な言論に発展させ発行部数を120万部まで増やせ」という指示を何度も出した。

指示を貫徹するために、各人民班や工場、企業所に強制的に割り当てるという涙ぐましい努力が行われたおかげで部数は、60万部まで回復。しかし、目標の120万部には程遠いうえに新たな問題が生じていると慈江道(チャガンド)の情報筋は語る。

「必死で頑張って60万部まで増やしたが、120万部まで増やしたらゴミ(古新聞)の処理が大変なんだよ。相変わらず中央(※労働党中央)は、人民の考えがわかっていないね」

破けたら大問題、トイレットペーパーの用途もなくなった労働新聞

一方、両江道(リャンガンド)の情報筋によると、労働新聞の年間購読量は2000ウォン(約66円)で、市場でトウモロコシ1キロを買うのと同じぐらいで非常に安いと伝える。

それにもかかわらず、部数が増えない理由について次のように説明した。

「読み終わった労働新聞は、月に1回、逓信所(郵便局)に持って行って回収してもらう。労働新聞には『1号写真』が多いから、破れたりしたら大問題。取り扱いが面倒なんだよ」

『1号写真』とは、故金日成しからはじまる三代指導者の写真のことだが、この写真を折ったり傷つけることは許されない。ただし、基本6面構成の労働新聞で、1号写真の掲載面以外をトイレットペーパーやタバコの巻紙代わりとして使うことは許されてきた。

しかし、最近では、中国製の安いトイレットペーパーや巻紙も流通していることから労働新聞は「古新聞」としての価値もなくなりつるある。

いずれにせよ、人民が労働新聞を読まない最大の理由は、プロパガンダ一色で、あまりにも中身がつまらないからだ。せめて平壌新聞、体育新聞並みに読みどころを増やすことから考えるべきだろう。

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