セウォル号の遺族たちは何に憤っているのか…「子供の消えた街」からのレポート

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

1年前に発生したセウォル号の沈没事故をめぐり、朴槿恵政権と遺族らの対立が激化している。警察と遺族を支持する市民らの衝突も発生し、ソウル市中心部は一時、騒然とした空気に包まれた。

304人の死者・行方不明者を出した同事故をめぐっては昨年11月、韓国国会で真相究明に向けた特別法が成立している。しかしその後、朴槿恵政権が打ち出した特別法の施行令の案は、特別委事務局の人員を減らす、最重要ポストに政府高官を当てるなどの内容からなっており、「特別委を無力化するもの」だとして遺族のさらなる怒りを買った。

一方、国会の諮問機関である立法調査処も遺族側の指摘を支持する見解を表明。当初は施行令の修正に否定的だった与党セヌリ党も一部修正についての議論を始めており、この問題をめぐる葛藤が朴大統領と遺族らの間に集中的に表れるようになった。

ただ、沈没事故をきっかけに噴出した韓国社会の矛盾には、より根深いものがある。人々の怒りの所在について、ジャーナリストの李策氏がレポートする。

「陰謀論が出るのも当たり前」

「事故発生からこれほど時間が経つのに、疑惑は解明されるどころか深まる一方です。このままでは、韓国は立ち直れません」

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

『セウォル号の「真実」』(竹書房・以下、前掲書)の著者、郭東起氏はこう語る。

工科では韓国最高峰に位置するKAIST大学を卒業し、現在は民間シンクタンクに研究員として身を置く郭氏は、4月16日の沈没事故発生直後から遺族団体などと協力しながら真相解明に取り組んできた。

この間、韓国では真相解明のための特別法を巡って与野党の政争が続き、11月になってようやく成立。その一方、乗客を見殺しにしたイ・ジュンソク船長らに対しては、懲役36年などの一審判決が下っている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

しかし郭氏は「特別法も裁判も、どちらの動きも真相解明につながるものではない」と語る。

「事故の裏には、政府高官を巻き込む疑惑や謎が横たわっています。それも、ひとつやふたつではない。だからこそ特別法が必要なのですが、政争の中で実効性が弱められてしまった。船長らに対する裁判は、国民に対する?目くらまし?のようなものです」