一般住民の韓流ドラマ視聴を取り締まるはずの北朝鮮国家安全保衛部や人民保安部の幹部たちが、韓流ドラマにハマりまくって夜も寝られない日々を送っているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

VCDプレーヤーで韓流ドラマを見る様子
VCDプレーヤーで韓流ドラマを見る様子

北朝鮮では韓流ドラマの視聴は違法だ。2012年に改正された北朝鮮の刑法183条で「退廃的、色情的で醜い内容を反映した海外、写真、図書、録画物、電子媒体などを許可なく外国から持ち込んだり制作したり違法に保管している者は1年以下の労働鍛錬刑に処す」とされている。また、185条では「反国家目的ではなく敵の放送を聞いたりビラを収集、保管したり流布した者は1年以下の労働鍛錬刑に処す」となっている。

この法律に基づいて韓流ドラマ視聴の取締が行われているわけだが、あろうことか取締官庁である国家安全保衛部や人民保安部の幹部たちが韓流ドラマにハマりまくって自宅で夜遅くまで見ているとのことだ。

韓流ドラマをほぼリアルタイムで楽しむ北朝鮮の幹部たち

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は「最近、平壌と地方の労働党や行政機関(保衛部、保安部)幹部たちが、ストレス解消になるとか言って帰宅後に韓流ドラマを見ている」と伝えた。

この情報筋の話によると、幹部たちは自宅で家族と一緒になって見ていると言う。2月から韓国KBSで始まり放送が続いている大河ドラマ「懲毖録」や昨年放送された「鄭道伝」などの時代劇や2013年に放送されたホームドラマ「王家の家族たち」などが人気だという。いずれも体制に対する批判や政治色がないものだ。

幹部たちの家は電気も来るし「109常務」(韓流ドラマなどを取り締まるチーム)の対象になっていないので、自宅で安心して見られる。ついつい夜遅くまで見てしまい、昼休みに昼寝をしているという。

109常務は人民班長とともに随時家宅捜索を行って韓流ドラマなどを見ていないかの検査を行うが、幹部たちの家はその対象から除外されている。

韓流ドラマは手頃な賄賂

これらのドラマはCD、DVD、USBに保存された形で北朝鮮全域に拡散する。税関ではメディアの国内持ち込みに神経を尖らせてはいるが、とても小さく1本持ち込めばいくらでもコピーできるので完全に取り締まるのは不可能に近い。

「貿易関係者は、いくつものドラマが保存されたUSBを中国の貿易業者から購入して幹部たちに賄賂として渡す。保衛員、保安員も住民から押収したUSBなどをコピーして幹部たちに渡す。幹部たちの間では『また徹夜したのか。一人で楽しむなよ』という冗談が行き交っている」

「中国の貿易業者は中国のテレビで放映されている韓流ドラマ数十回分を録画、USBに保存して北朝鮮に持ち込むので、ドラマが放送されるとほぼリアルタイムで北朝鮮全域に拡散する」(内部情報筋)

ある脱北者は韓国の中央日報の取材に対して「韓流ドラマを密かに売る販売網がある。CD1枚に10回分が入っているが非常に高価なのでレンタルして見る。20回分を借りたら2日後には返却しなければならないので玄関を固く閉じて朝から晩まで見続ける。家に置いておいて取締にひっかかれば面倒なのでレンタルの方が気持ち的に楽だ」と語った。

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