1912年4月15日、後に「民族の太陽」とあがめ奉られる金日成氏が生まれた。北朝鮮では毎年この日を「太陽節」として盛大に祝うが、最近の太陽節は様子が違うようだ。
1997年7月の党中央委員会、党中央軍事委員会、国防委員会の決定書「偉大な首領金日成同志の革命生涯と不滅の行跡を永く輝かせることについて」という決定書を発表した。チュチェ(主体)という年号を定めて金日成氏の生まれた1912年をチュチェ元年とし、誕生日の4月15日を太陽節に定めた。
それ以来、北朝鮮当局は4月15日に「最高指導者のご配慮」という名目でコメ、肉、酒などを配給して忠誠心を高めてきた。ところがその特別配給がここ数年なされていない。
配給なく落胆する一方で「期待するほうがバカ」の声も
両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は「放送では首領様(金日成氏)の誕生日だと騒ぎ立てているが、例年なら配られるはずのコメ、油、酒などの『特別配給』が今年はなかった。子どもたちにお菓子が配られたぐらいだ」と落胆した様子だ。
「新学期を迎えて学校の制服が配給されず、太陽節には配給されるだろうと期待している生徒たちもいたが、見事に裏切られた。人民班の班長は『輸送が遅れているようだ』とごまかすが、誰も信じない」(内部情報筋)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面テレビでは、太陽節の祝賀ムードに溢れている平壌の雰囲気が放送されるが、地方の人々は冷めた目で見ているようだ。金日成銅像への献花式、忠誠の歌の集いなどの行事に動員されることはあっても、お祝いムードはさほど感じられないからだろう。
「余裕のある平壌では、花火大会をやっているようだが地元ではちょっとした行事をやるだけだ。『太陽節は祝日ですらない』と言う人もいるぐらいだ」(内部情報筋)
特別配給は数年前から途絶え、「期待するヤツが馬鹿だ」という声もあるという。また、市場の製品よりも、質が落ちることから「配給がなくて、むしろせいせいした」と皮肉る人もいるという。