先日、韓国の国家情報院のスパイとされる韓国人男性2人が逮捕され、北朝鮮当局が、中朝国境地域や内陸部に及んで取締を強化している。その影響で中朝貿易が萎縮。拠点とされていた中国の丹東が「スパイ不況」に襲われているが、その余波は対岸の鴨緑江側、つまり北朝鮮内部にも拡大しつつある。
取締に息を潜める密輸業者
両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は語る。
「最近、報道された『スパイ事件』や新義州(シニジュ)の『軍人脱北事件』のせいで、国境地域が殺伐としている。さらに取締も強化され中国からの密輸品が入荷しなくなり、商人たちは気を揉んでいる」
情報筋によると、2月16日(金正日氏の誕生日)が過ぎてから国境地域での中央党の取締が始まったが、時を置かず「スパイ事件」が明らかにされた。
取り締まりの強化に、中朝国境の密輸などで、それなりの修羅場をくぐり抜けてきて密輸業者たちも萎縮し、流通量は3分の1まで激減した。
取締で物価高騰か
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面今回の取締は、丹東の対岸に位置する新義州(シニジュ)からはじまった。
北朝鮮当局のターゲットは、麻薬密売、人身売買、中国や韓国との携帯電話を使った違法通話、脱北などだ。
取締は、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)でも行われは新義州以外の平安北道(ピョンアンブクト)や慈江道(チャガンド)で行われている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面こうした商売に対する北朝鮮当局の取締は珍しいことではないが、「今回は労働党中央からの指示で行われている」と情報筋は語る。
「中国の親戚を訪問した『私事旅行者』も調査を受けている。保衛部(秘密警察)や保安署(警察)は、当局に近い人民班長や核心階層の人々を動員し、庶民たちや脱北者がいる家族を監視している。『内部に隠れている不穏分子を見つけ出すことが目的』と噂されている」(内部情報筋)
こうした内部統制が強化されると、当然のごとく流通などにも悪影響を及ぼし、市場の物価は高騰する。結局は、最も被害を被るのは庶民たちであることは間違いない。