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北朝鮮の労働新聞は8日、金正恩氏が「平壌弱電機械工場」を視察したと報道した。一般的に「弱電」とは、通信機や、放送機械、コンピューター関連を表すが、「平壌弱電機械工場」はミサイル部品の製造拠点として知られており、一説にはミサイルの弾頭に積む爆薬も扱っているとされる。

これを報じた記事の中に、気になる写真をみつけた。工場の敷地内で、正恩氏が火のついたタバコを手にしているものだ。

このとき以外にも、労働新聞は正恩氏が火のついたタバコを持ったまま工場内を視察する様子を、たびたび報じている。

工場でタバコを吸う金正恩氏
1月16日付労働新聞の1面より。江東精密機械工場を視察する正恩氏が、火のついたタバコを手にしている。

 

ちなみに吸っている銘柄は北朝鮮国産タバコの「7.27」だ。世界中で禁煙ブームが巻き起こっているなか、なぜ正恩氏はあえて時代に逆行する姿を見せるのだろうか?

イメージ戦略に悪影響

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そもそも朝鮮半島は儒教の教えで年上や目上の人の前でタバコを吸うことはNGだ。どうしても吸いたいときには席を外したり、タバコの箱をテーブルに置いてさりげなく喫煙者であることをアピールして相手の「吸ってもいい」の一言を待ったりする。

祖父ぐらいの年齢差がある老幹部の前でも平気でスパスパとタバコを吸う正恩氏の態度は、儒教的な観点から非難の的になりかねない。

自己顕示欲の強い彼からすれば「最高指導者たる者は、誰の前でもどんな場所でもタバコを吸える」とアピールしたいのだろう。しかし、ただでさえ「若造のくせに生意気」という悪評が立っているのに「歩きタバコの現地指導」はイメージ戦略としては首を傾げざるをえない。

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それだけではない。正恩氏の「歩きタバコの現地指導」は儒教的道徳に反するどころか北朝鮮の法律に違反している可能性がある。

北朝鮮の消防法15条「火災を起こしうる・・・」

北朝鮮の消防法15条は「機関、企業所、団体と公民は火災危険性物質、可燃性物質などを保管、取り扱う建物や場所で火災を起こしうる作業を行ってはならない」としている。

工場では接着剤などの引火性物質が大量に使われていて、綿ぼこりも舞っている。タバコの火が引火でもしたら火事になりかねない。精密機械工場などではタバコのヤニが機械に悪影響を与えかねないので、厳禁のはずだ。

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ミサイル工場の敷地内でタバコを吸うなど、もってのほかである。

道徳的にも、安全的にも問題があり過ぎる最高指導者の喫煙行為は、北朝鮮の庶民からは呆れられ、海外からは苦笑されているだろう。

もっとも「超法規的人物」の金正恩氏からすれば「誰の前、どんな場所でタバコを吸おうが知ったこっちゃない」ぐらいにしか考えていないかもしれないが…。