中国丹東にある北朝鮮向け携帯電話専門店
中国丹東にある北朝鮮向け携帯電話の専門店

最近、北朝鮮の市場で「白ロム電話」の取り引きが急増している。白ロムとは電話番号などが登録されていない携帯電話のことであり、韓国では「テポポン」、つまり「大砲フォン」と呼ばれている。

北朝鮮の「白ロム」携帯のほとんどは盗難品だが、このことからトラブルが続出しているとのことだ。

盗難品の携帯電話を買い付ける「ブローカー」も登場

黄海南道(ファンへナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、最近鉄道の車内で高級品ばかりを狙った盗難事件が多発している。犯人の多くが10代のコチェビや除隊した軍人たちだ。

荷物に高価なものが入っているかどうかを一瞬で見分け、停電で列車が立ち往生している時や食事の時間など、乗客の警戒感が薄れた隙を狙って盗みを働くとのことだ。

彼らの一番のターゲットは携帯電話。市場で売り払うと300ドルもの大金を手にできるからだ。盗難品の携帯電話を買い付けるブローカーまで登場しているという。

盗まれた携帯電話は市場で安値で売られており、買い手も多いようだ。しかし、購入したのはいいものの、後に盗難品であることが判明。購入者が窃盗犯に間違われるケースも発生している。

今回、内部情報筋は、白ロム携帯電話を掴まされてしまった悲しい男の話を伝えてきた。

盗まれたのは「幹部の携帯」だから必死で追跡捜査

情報筋によると、平壌市のある幹部が列車内で携帯電話を盗まれた。

機種は「平壌」と「アリラン」でシリアルナンバーはそれぞれF107、F104。届けを受けた保安署(警察署)は位置追跡装置を利用して携帯電話のありかを見つけ出し、所有していた40代男性を窃盗容疑で逮捕した。

実は、この男性は市場で盗難品と知らずに、この携帯電話を購入していた。盗難犯に間違われた男性は、保安員(警察官)たちに取り囲まれたが、激しく抵抗した。

「俺は何もしてない!」「真犯人を捕まえろ!」と大騒ぎしたが、あえなく御用となり、「労働鍛錬隊送り」となってしまったという。

一般人が盗難届を出しても、保安署はまともに捜査してくれないが、今回は持ち主が幹部だったのが運の尽きだった。保安署は点数稼ぎのために普段はやらない「位置追跡」まで行ったと情報筋は伝えた。

彼のように盗難品とは知らずに購入する人もいるが、盗難品だとわかって買った人の中には、保安署の追跡を避けるために携帯電話を持ち歩かない人もいるという。