その地下軍事施設を見学した外国人は限られており、シャーズィリーは数少ないその1人であった。
シャーズィリーは、相当に感銘を受けたようである。無理もない。人口にしても経済力にしても、国力ではエジプトが北朝鮮をはるかに上回っている。しかし、北朝鮮の軍事施設はエジプト軍の参謀総長が驚嘆するほど発展したものであった。
金日成に会ったとき、シャーズィリーは、核戦争が起こったら北朝鮮だけが世界に残るのではないか、と語ったという。お世辞もあったにせよ、シャーズィリーが地下空港や地下兵器工場などを見学して、その発展ぶりに驚いたことは間違いないだろう。
イスラエルを欺く
北朝鮮の空軍パイロットを接見したシャーズィリーは、2000時間以上の操縦歴がある彼らの能力に満足し、彼らにエジプト軍パイロットと同額である1エジプトポンドの給料を払うことを約束した。そして、北朝鮮のパイロットは最後方の任務に就き、イスラエル国内やイスラエルが占領した地域では戦闘しないことを約束した。