朝鮮人民軍 海外戦記/中東編(1)

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2010年12月のチュニジア政変を皮切りに、アラブ諸国を揺るがしている「アラブの春」と呼ばれる反政府デモや暴動、政権転覆などは、北朝鮮にも危機感を与えた。そうした動きが自国に波及することではなく、アラブ諸国の政権が転覆し、その国との友好関係が崩れるのを恐れたのだ。

とりわけ危惧したのは、アラブ諸国で最大の人口を擁するエジプトについてであった。

2011年2月11日、それまで30年にもわたり大統領の座にあったホスニー・ムバラクが、副大統領のオマル・スレイマンを通じて辞任を発表した。

すると北朝鮮では、翌日付の労働新聞にエジプト人が書いたとされる「金正日領導者の胆力は朝鮮の国力だ」という題の、長い寄稿文が掲載された。そこには、北朝鮮とエジプトの友好関係の歴史が書かれていた。ムバラク政権の崩壊により、エジプトとの友好関係が損なわれてしまうことへの危機感の表れと言える。