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しかし一部では、これより早く北朝鮮の参戦の事実が知られていた。筆者もエジプト研究で知られる日本大学の横田貴之准教授から教えられて知ったのだが、第4次中東戦争で参謀総長としてエジプト軍を指揮したシャーズィリーが、1980年に出版した英語版の回顧録にその事実を記しているのだ。

ベトナム参戦とは異なる「目的」

もっとも、この回顧録には英語版のほか、1979年に発行されたアラブ語版がある。英語版はアラブ語版の抄訳であって、北朝鮮の部分がかなり削られている。アラブ語版はエジプトで発禁処分を受けたため、長い間、閲覧不可能であった。再版されたアラブ語版の北朝鮮の部分を翻訳して日本語で紹介したのが、イスラム研究で知られる東京大学の池内恵准教授である。

このシャーズィリーの回顧録が、北朝鮮空軍パイロットによる第4次中東戦争への参戦についての最も詳しい資料になるが、他にも『金日成全集』や『自主偉業の偉大な首領金日成同志』、先述の「金正日領導者の胆力は朝鮮の国力だ」など北朝鮮で出された文献にも、参戦の状況が記されている。

それにしても、第4次中東戦争への参戦を決めた金日成の動機は何だったのか。