北朝鮮では電力難に対応するために火力発電所をフル稼働しているが、電力事情の悪化は防げず、労働党創建70周年に向けた記念建設にも支障が出る可能性があると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

平壌火力発電所 ©Clay Gilliland
出力5万キロワットの東平壌火力発電所。市内には50万キロワットを発電する平壌火力発電所も存在する。 ©Clay Gilliland

火力発電所フル稼働しても需要の半分も満たせず

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は「先鋒(ソンボン)火力発電所(20万キロワット)と清津(チョンジン)火力発電所(15万キロワット)をフル稼働させているが電力事情は改善しない。とっくに稼働していなければならない水力発電所も『水』がないために、稼働できずにいる」と伝えた。

北朝鮮の電力需要量は800万キロワットだが、生産電力は380万キロワットにも満たないという。現在、清津市の金策(キムチェク)製鉄所は3つの溶鉱炉のうち1つしか稼働できていない。

さらに、電力難によって鉄道輸送に支障が生じ、労働党創建70周年の建設に使う資材の輸送も遅れている。また軽工業製品の生産にも支障をきたしている。

農業用水確保のために夏季にも水力発電所稼働制限

両江道(リャンガンド)の内部情報筋は「農業用水を確保するために水力発電所の稼働を制限し、夏は火力発電所を稼働せよとの指示が中央から下された」と伝えた。

北朝鮮では、毎年夏には火力発電所の稼働を中断し、水力発電で電力を確保していたが、農業用水も不足しているため、夏にも火力発電所を稼働せざるを得ない状況だ。

「両江道の三水(サムス)発電所(5万キロワット)のダムの水深は昨年3月は、111メートルだったが今年3月は68メートルしかない」(内部情報筋)

両江道で2月14日、労働党政治局会議の決定書貫徹のために開かれた幹部講演会では、電力難で建設用の鉄鋼、セメントが確保できておらず、鉱山、鉄道、製鉄部門が打撃を受けていると述べられている。

露電力会社、羅先に風力風力発電所建設へ

北朝鮮の慢性的な電力難を現在の火力や水力で克服するのは難しいが、「風力発電」なら可能性があるのかもしれない。

ロシアの東部電力システム(VRAO)は送電線を設置してロシア極東地域の余剰電力を北朝鮮に送電する事業とは別に羅先(ラソン)経済特区への風力発電所建設を進めることを明らかにした。

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ロシアが設置を検討しているのは10メガワット(=1万キロワット)の大型風力発電設備で、日本なら2700から3400世帯の電気がまかなえる。それでも、人口20万の羅先市では不足することから、最大で20メガワットに増やす可能性も考慮されている。同社は6月までに採算性を調査するフィージビリティ・スタディを終える予定だ。

風力は北朝鮮にとって夢のエネルギー源になるか?

また、この事業の建設費用、発電設備、設置費用をロシアと北朝鮮のどちらが負担するかなど詳細はまだ決まっていない。

参考情報として、日本独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の試算によると、日本で10メガワットの風力発電所を建設するには24億から37億円かかり、発電コストは10万から24万円、火力発電に比べてコストは1.5から3倍となる。

しかし、中国製の風力発電を導入すれば日本製の半分から3分の1程度で、火力発電のコストと変わらなくなる。北朝鮮の民間では、ソーラーパネルの需要も高まっているが、風力発電も北朝鮮の次世代エネルギー源になる可能性が出てきた。

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