昨年9月17日から24日にかけて、平壌で開かれた第14回平壌国際映画祭。その現地ルポがアメリカのカルチャー誌「GQ」と芸能情報誌「ヴァニティ・フェア」に掲載された。

アメリカ人フリーライターのミッチ・モックスレー氏は一般の観光客のふりをして平壌映画祭を取材。GQに掲載された「私は北朝鮮の映画祭から生還した」というタイトルの記事で、映画祭の様子や現地の人々から聞いた話についてレポートしている。

のぞき見た北朝鮮

世界から数十本の作品が出品されたこの映画祭は、北朝鮮と外部世界をつなぐ文化交流の場であるが、一方で、「北朝鮮は世界とこんなに交流している」と宣伝する側面も持ち合わせている。

北朝鮮映画「心に残る人」の一シーン。練炭の配給を受け取る女子学生。
北朝鮮映画「心に残る人」の一シーン。練炭の配給を受け取る女子学生。

最優秀映画賞を受賞したのはドイツ映画「我が祖国」。閉幕式で上映されたが英語の字幕がなかったため、外国人の観客はどんな内容なのかさっぱり理解できなかったという。モックスレー氏は記事の中で、映画祭は北朝鮮の人々のためのもので、外国人は「賑やかし役」に過ぎないとこき下ろしている。

同氏の記事はさらに、北朝鮮当局が、外国人参加者の感想を都合良くねじまげて発表している点についても指摘している。

スウェーデンのヘンリック・ニュービスト氏は、外国人参加者を代表して映画を通じた文化交流について発表しようと思っていた。しかし、閉会式開始15分前に北朝鮮の案内員が「感想を述べるには遅すぎた」と言って何枚かの原稿を渡された。読み上げてみると「映画祭を許可してくださった元帥様(金正恩氏)ありがとう」という内容だった。

モックスレー氏が平壌で出会った海外の映画関係者は、「平壌国際映画祭を風変わりなイベントに過ぎずまともな映画祭とは思っていない。映画祭授賞式も学芸会のようだ」と酷評したという。

♪レリゴーも知ってる北朝鮮の人

ヴァニティ・フェアの記事のタイトルは、「のぞき見た平壌国際映画祭」。こちらは映画祭そのものより、北朝鮮の朝鮮映画撮影所の「訪問記」に近い。

同誌の記者は、映画祭の期間中に出会った北朝鮮の人々が、外国映画のことを意外なほどによく知っていることに驚かされた。

ある人は、「どんな外国映画が好きか」との記者の質問に、「アルゴ」と「ボーン・アイデンティティー」の名を挙げたという。

また、オーストラリア人がイアホンを北朝鮮の男性に渡して「アナと雪の女王」のテーマソング「レット・イット・ゴー」を聞かせたところ、彼は「実はiPadを持っている。それに保存した『アナと雪の女王』を見た」とこそっとつぶやいた。

北朝鮮側が記者に付けた通訳兼ガイドは大学で「サウンド・オブ・ミュージック」を見て英語の勉強をしたとのことだ。

ディズニーと金正日

北朝鮮でも、ディズニーキャラクターは至るところで見られる。

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平壌での映画祭の様子

しかし、ディズニー関連商品の取り扱いに関してディズニー社と北朝鮮が正式なライセンスを交わしたという情報はない。つまり、北朝鮮男性が見たという「アナ雪」は中国経由などで流入した海賊版と見られる。

ヴァニティ・フェア誌は、「北朝鮮は少しずつ門戸を開けつつあるかもしれない。しかし、依然として金正日氏の映画に関する教示に厳格に従っている」と伝えた。

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