映画「ザ・インタビュー」海賊版DVD
映画「ザ・インタビュー」海賊版DVD

「韓流ドラマを見ていたことは水に流してやる」

北朝鮮当局が、金正恩氏暗殺を描いたコメディ映画「ザ・インタビュー」の自国への流入を懸命に防ごうとしていることがわかった。わざわざ「ザ・インタビューを見てはならない」と伝えるための講演会も行われているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

咸鏡北道の内部情報筋は次のように語った。

「今年の初めに講演会があった。『今まで韓流ドラマを見ていたことは水に流してやるから、今後外国から入ってきた映像は絶対にみないこと』『特に米国の映像を見た者は絶対に許さない』との内容だった」

「『今までは賄賂を受け取って見逃したりしていたが、今後はいくら賄賂を渡しても無駄だ』「『最高尊厳(金正恩氏)をけなす映像は絶対に見るな』と言われた。

講演内容から「ザ・インタビュー」の流入と拡散に警戒していることは明らかだ。

講演会では「今後米国の映像を見ていることが発覚したら見せしめで収容所送りにする」「単に見るだけではなく映像の持ち込み、流布を行った者は銃殺に処す」と伝えている。

「DVD検閲の死神」と恐れられる「109常務」

一部では「DVDプレーヤーのバッテリー充電すらするな」と言われるほど取り締まりは強化されている。

また、北朝鮮当局は韓流コンテンツをはじめとする海外コンテンツを集中的に取り締まる「109常務」という特別部隊を組織している。109常務は保衛部、検察所、保安署、党機関合同の組織であり「DVD検閲の死神」と恐れられている。

109常務は、真夜中でも家に押し入って捜査し、VCD(CDに記憶した映像メディア)とプレーヤーを見つけ出す。また、バッテリーに少しでも電気が残っていたらプレーヤーも映像ソフトもすべて没収されるとのことだ。

北朝鮮政府は「ザ・インタビュー」が国内に入り込むのを防ぐため、カンボジア政府に以下のような文書を通じて上映禁止を求めている。

「我が国の最高指導部へのテロを公に擁護する米国映画『ザ・インタビュー』は最高指導者の尊厳を冒涜し、北朝鮮人民を激怒させている。両国の長年の友好関係を潰そうとする敵対勢力により量産されている」

さらに、ミャンマー政府に対して同様の申し入れをした。ミャンマーでは海賊版が販売されているが、それに対する取締が既に行われていた。

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外部からの流入を遮断するのはもはや不可能

「ザ・インタビュー」の拡散を必死で防ごうとする北朝鮮政府。しかし、内部情報筋は当局の統制は失敗に終わると見ている。

なぜなら、北朝鮮に映像ソフトが持ち込まれるルートは非常に多様で、全てを防ぐのは事実上不可能だからだ。さらに、内部講演会で「米国の映像」と言及したことが、逆に住民の好奇心を煽る逆効果を生み出している。

「処罰が怖いのであからさまには話せないが、外国が最高尊厳(金正恩氏)をどうやって誹謗するのか見たがっている人もいる」

「中国の貿易業者にコネがある住民は、さっそく取り寄せようとしている」(内部情報筋)

ところで、冒涜されている最高尊厳・金正恩氏は「ザ・インタビュー」を既に見たのだろうか。気になるところだ。

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