2005年3月、サッカーの国際試合で北朝鮮がイランに敗北を喫した試合で審判の判定に納得できないと保安員と揉める北朝鮮の観客。
2005年3月、北朝鮮がイランに敗北を喫したサッカーの試合で審判の判定に納得できないと保安員と揉める北朝鮮の観客/本文とは関係ありません。

中央「横暴な保安員を取り締まれ!」

最近、北朝鮮の保安員(警察)と各地域の検察所幹部の不正や人々に対する横暴がひどくなっている。住民の不満が高まりむしろ国の統制力を弱める結果を招いている。

それらを解消するために大々的な検閲(監察)に乗り出したと内部情報筋が伝えている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は次のように伝える。

「1月の初め頃、道の検察所、保安機関を対象にした監察についての中央党の指示が下された」

「各道の労働党委員会が『党検閲組』を立ち上げて保安員の住民に対する暴言、暴行、賄賂要求などを調査して加害者をすべて処罰せよという内容だ」

「中央党から指示があったのは、検察所の検事や保安員の横暴が日を追うごとにひどくなり、人々の不満が高まったため」

言いがかりを付けて賄賂要求、住民からの激しい抗議も

金正恩体制がはじまってから、国内の引き締めを目的とした住民統制は日増しに強化されているという。その一方で、検事や保安員の不正も増加。彼らは、賄賂を露骨に要求して、応じない場合には暴言や暴力もいとわないことから庶民の不満の声は高まっている。

「保安員と検事のほとんどは職責を金儲けの手段に利用している。賄賂の要求はもちろん、トンジュ(金主=高利貸し)に成り代わって金を取り立てている」

「あまりの酷さに『戦争が起きたらお前ら保安員をいの一番に撃ち殺してやる』と言う人すらいる」

「保安員は市場や道端で通行人を片っ端から捕まえ荷物検査をして言いがかりをつけて賄賂を要求する。応じなければ暴言や暴行、連行するケースすらある」

「咸鏡北道の茂山(ムサン)でガソリンを売っていた40代の女性が保安員から侮辱され品物を没収された。それに抗議して焼身自殺を図った」

「抵抗したという理由で保安員5人が夜中に彼女の家に押し入って家族に暴力を振るったが、それを聞きつけた近所の人々が激しく抗議した」

「咸鏡北道の漁村では借金のカタに家を奪われたり一家心中を図った家族が数十に達する」

「それもこれもイカ漁ができずに多額の借金を抱えた人々への高利貸しの暴力的な取り立てを保安員が黙認するばかりか高利貸しとグルになって『法を守れ』と責め立てているからだ」(内部情報筋)

【参考記事】北朝鮮当局が漁業規制 生活苦で「漁師の自殺」も続出

当局の「がんばってる振り」に冷淡な人々

こうした保安員の横暴に対して、中央党から指示があったしても「どうせ効果はない」と庶民たちは諦め顔だ。

「中央の指示は表向きは不正行為は反革命的行為として、厳罰で臨むとしている。しかし、結局は、各地域の党組織が行う監察なのでしがらみも多く、金とコネで監察を逃れるだろう」(内部情報筋)

「警官の不正を下手に報告すると後々報復されかねない。どうせ、ガス抜きのためにがんばってる振りをしているだけ」

咸鏡北道の別の内部情報筋は、次のように揶揄した。

「そもそも、保安員の暴行や暴言を、真面目に取り締まったらこの国から保安員がいなくなってしまう」