北朝鮮における韓流について語る女性(撮影:デイリーNK特別取材チーム)
北朝鮮における韓流について語る女性(撮影:デイリーNK特別取材チーム)

デイリーNKは今月5日から8日間、中国の丹東と集安において中朝国境地域の取材と中国に私事旅行にやってきた北朝鮮の人12人にインタビューした。昨年12月の張成沢氏の処刑後の北朝鮮国内の動向を聞くと同時に、厳罰にもかかわらず拡散を続けている韓流ドラマや映画の実態を調べるためだ。取締を避けるためにUSBメモリによる流通が進んでいる。デイリーNKは7回に渡って中朝国境地域のルポと韓流関連の記事を連載する。

友だちから友だちへと広がる韓流

北朝鮮当局は韓流ドラマ、映画の拡散を抑えるために厳しい監視と取締を行っているが、USBを使った拡散が続いている。小さくて取締を避けやすい上に、DVDをと違って取締のためにあえて電気を供給してプレイヤーから取り出せなくなり現場を押さえられることもないので若者の間で人気だ。

黄海南道(ファンヘナムド)の40代の男性は語る。

「中学生、高校生はUSBにコピーされた韓流ドラマを見て友だちから友だちへとどんどん広がっている」

「知識教養の時間に見るなと言われるとむしろ好奇心がわいて見るようになる。親も止められない」

「携帯電話にK-POPや洋楽を入れて聞きながら歩く」

このように韓流を見ている層は余裕のある金持ちや幹部の子どもたちだ。

平安南道(ピョンアンナムド)の50代女性は語る。

「1日に1度食うか食わないかの人々がそんなものを見るわけがない」

「韓流を見ているのは幹部やその子どもたち、金持ちだけだ」

「プレイヤーは20~30万ウォン(約2800~4200円)、ドラマ3回分を保存できる容量の少ないものは7万ウォン(約980円)、大きいものは10~15万ウォン(約1400~2100円)ほどで売られている」

「人気のある映画のVCDを借りるのは1万ウォン(約140円)、普通の映画なら5000ウォン(約70円)」

コメ1キロの値段が5000ウォンほどであることを考えるとかなりの金額だ。

韓流バレて処刑されるケースも

韓流の取締は昨年12月の張成沢氏処刑の跡から厳しくなった。地域によってレベルは異なるが、教化所送りや追放が一般的で、最悪の場合銃殺に処せられることすらある。

平壌の50代男性は語る。

「韓流を見ていたのがバレると大変なことになる。買ったり持ち歩く人はいない。最悪の場合処刑されかねない」

平壌の女性は語る。

「うちの地域でも韓流を見ていたのが見つかって労働鍛錬隊や集結所送りになったが見たのは初めてだと嘘をついて6ヶ月で出てこれた」

取締をネタに常習的に金をむしり取るケースも

韓流の取締は従来の「109常務」「927常務」に加えて、平壌では高等中学校出身者を集めて作られた「機動隊」が当たっている。

黄海道の40代男性は語る。

「927常務は非社会主義的なものの取締を行っているが、主に販売の取締を行う」

「109常務は人民安全部、労働党機関、行政機関と合同で韓流ソフトの捜査を行う。ひっかかったらめんどくさいことになる」

平壌の50代男性は語る。

「一昨年、区の人民安全部に「機動隊」というものができた。高校を出たての若い連中だから融通が効かなくて怖い」

「市場で取締を行っているが、見つかったら前は一度賄賂を渡せば済んだが、今では韓流ソフトを売っている人から常習的に金をむしり取っている」

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