日本のエログロナンセンスの時代に性に関する書籍が朝鮮に流入して朝鮮の人々の性に関する観念を変えていった。(画像:Naverニュースライブラリー)
日本のエログロナンセンスの時代に性に関する書籍が朝鮮に流入して朝鮮の人々の性に関する観念を変えていった。(画像:Naverニュースライブラリー)
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デイリーNKジャパンでは、3回にわたって「北朝鮮の同性愛事情」について伝えてきた。

【連載:北朝鮮の同性愛事情】
(1)小説に描かれた「ゲイは非人間的」
(2)北朝鮮のゲイは「理解も迫害もされない」
(3)北朝鮮でゲイが発覚すればどうなる?処遇はお上のさじ加減次第

?「理解も迫害もされない」「同性愛そのものより資本主義の悪習に染まったという理由でレズビアンカップルが処刑された」と法的に非常に曖昧な状態に置かれている北朝鮮の同性愛者の状況について伝えた。

それでは歴史的に朝鮮半島で「同性愛」はどのように伝えられていたのだろうか。

近代以前の朝鮮では同性愛そのものは問題視されず

?朝鮮半島で近代以前の同性愛として常に言及されるのが、歴史書に残された王族の男色や女色だ。14世紀の高麗の恭愍王は織田信長や武田信玄さながら周りの者を美少年で埋め尽くしたとの記録がある。

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朝鮮王朝5代目の王、文宗の3番目の妃の純嬪奉氏は女官との性行為など行った角で王宮から追い出されている。また、女官の間でも性行為があったことが記録されている。

ただ、同性愛そのものが問題視されたのではなく、怠惰な生活や痴情のもつれの方が問題視された。

庶民階層に目を向けると、朝鮮半島の伝統的な旅芸人の集団「ナムサダンペ」(男寺党)が朝鮮各地を巡り歌や踊りを披露すると同時に行く先々で女性と結婚できない下層階級と男色を行っていた。

同性愛を変態性欲扱いする西洋精神医学が朝鮮に流入

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同性愛が変態性欲の扱いを受けるようになったのは、朝鮮半島が日本の植民地支配下にあった1920年代のことと思われる。

3.1独立運動をきっかけに朝鮮総督府は、力で押さえつける武断統治から相対的にソフトな文化統治に転換した。その流れで1920年に朝鮮日報、東亜日報などの朝鮮語新聞も創刊される。

この時期、「大正ロマン」「エロ・グロ・ナンセンス」が花開きつつあった日本から西洋の精神医学に影響を受けた性に関する書籍が、朝鮮に流入。朝鮮語紙の広告にもそのような書籍の広告が多数掲載されている。