果物を売る北朝鮮の屋台
果物を売る北朝鮮の屋台

家の一部を店に、24時間営業で食品から家電まで

北朝鮮は、もはや市場なしでは経済が回らない。しかし、市場は時間的な制約がある。そんななか、最近人気を集めているのが「家売台」(집매대,チンメデ)と呼ばれる雑貨屋だ。

平安南道のデイリーNK内部情報筋は「家売台」について次のように伝える。

「家の一部屋を店にして昼夜を分かたず商品を売る『家売台』が徐々に増えつつある」

「信用さえあれば仕入れもできて販売もできる手頃な商売だ」

北朝鮮には「国営商店売台」や通り沿いに設置された「便宜奉仕網売台」「総合市場売台」など、いわば「テナント」のような形の店が存在する。

「国営商店売台」は個人が国営商店の一部を借りて商売を行う。「便宜奉仕網売台」は1.5~2メートルほどの大きさで売上の10%を管理費として市や郡の便宜奉仕事務所に収める。「総合市場売台」は50〜60センチほどの大きさで管理費を市場管理所に払って商売をする。

90年代から登場した新しい形態の「家売台」

「家売台」が登場したの90年代からだ。当初は、学校周辺で学生相手におやつを売る店から始まった。日本や韓国でも学校周辺には駄菓子屋や屋台が集まる光景がよく見られるが、学生をターゲットにした商売という点では似たような発想かもしれない。

そして、数年前から「家売台」は食品や雑貨を扱うようになり、ついにテレビや冷蔵庫などの家電製品まで売る店が現れた。これらの「家売台」は「投資」「流通」「販売」のすべてを家族でこなす家族経営の個人商店だ。内部情報筋は「家売台」のメリットとデメリットを次のように語った。

「元手がなくても店を出せばツケで商品を仕入れる。客にもツケで物を売ったりするので『信用売台』とも呼ばれる」

「家売台は農村支援で動員される時期でも商売を続けられるし、取締も避けられるのが市場と違うところ」

「ショバ代も取られず品物を運ぶ必要もない。24時間営業でいろいろ買えば配達もしてくれる。すべてにおいて便利だが値引きしてもらえないのが欠点」

また、「幹部やトンジュ(新興富裕層)が不正で儲けた金を国営商店や市場で使うと目立ってしまうが、家売台だとその心配がない」とのことで、意外な使われ方もされているようだ。

かつての中国でも、通りに面したマンションの窓に商品を並べて品物を売る雑貨屋が改革開放の初期に多く現れた。おおっぴらに商売できない点でその当時の中国と比べても制約が多いが、北朝鮮の市場化の波はもはや止められそうにない。

80年代の中国の雑貨店(本文とは関係ありません)
80年代の中国の雑貨店(本文とは関係ありません)

 

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