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しかし、明治大学非常勤講師の斉藤一晴氏は、「安倍総理がやめても教科書は変わらないと思う」と、現在の日本の政治情勢を冷静に分析する。「近現代史を教えない日本の歴史教育は昔から続いている慣行だ」というのだ。

「しかし、3国関係を教える先生は確実にふえている。それから、来年への提案だが、各国の歴史認識ののすり合わせのため、教員の養成課程を共有するのはどうか。日本の市民運動は反原発で連帯できた。歴史認識でもできるはずだ」……

西欧では半世紀かけて議論

地域における歴史認識を統一し、共通の価値観を構築しようという作業は、西欧地域ですでに先行している。

歴史的に軋轢の多かったドイツとフランスのあいだでは、すでに2006年より共通の歴史教科書が教育現場に導入され、1945年以降のヨーロッパ現代史を教えている。

第2次世界大戦のナチズムの問題について、ドイツがなぜナチスを生んだのか、フランスのビシー政権はなぜ親ナチ政策をとったかなど詳細な検討を行っているのだ。ドイツはまた、同様に被害を与えたポーランドとも合同教科書の制作にかかった。

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しかし、ここまでに至る過程において、西欧では実に半世紀もの長い議論を経ている。西欧以上に歴史観の違う東アジア地域が歴史認識を共有するのに、果たしてあとどれくらいの時間を要するのか、注意深く見守っていきたい。

(取材・文/ジャーナリスト 野村旗守)