タバコは富の象徴であり賄賂でも使われる

北朝鮮を旅行する時、喫煙者、非喫煙者に限らずタバコは必需品である。旅行に付きそう案内人にタバコを渡せば色んな面で便宜を図ってくれたり、交渉ごとがスムーズにいくからだ。

また、タバコの銘柄はいわば「富の象徴」でもある。高級幹部になればなるほど高価なタバコを吸う傾向にある。

とりわけ、日本のタバコは北朝鮮では人気銘柄である。セブンスターは「7星(チルソン)」と呼ばれ人気が高い。セブンスターやピースは、朝鮮人民軍や朝鮮労働党の幹部達が愛用し、賄賂としても用いられてきた。

「北朝鮮にいる時、日本から来た親戚が土産で持ってくる日本のタバコが楽しみだったよ。とくにチルソンはうまかったなぁ」と語る元帰国者の脱北者も多い。

ところが米国系ラジオのRFAによると、金正恩氏が日本産タバコに規制をかけたことから幹部達から不満の声が出ているという。

外国産タバコを吸うのは愛国心が足りない

RFAによると北朝鮮の市場ではピースは一箱当たり4.2ドルで売られている。新義州の市場で0.7ドルで売られている北朝鮮製タバコ「リョミョン(黎明)」に比べると6倍以上だ。

タバコを吸う金正恩氏/2013年12月28日付労働新聞
タバコを吸う金正恩氏/2013年12月28日付労働新聞

昨年12月に正恩氏は、幹部を中心に「良い国産タバコ(北朝鮮製タバコ)があるのに外国産タバコを吸うのは愛国心がないからだ」と「洋モク禁止令」を出した。

これを機に外国産タバコの輸入も中断され、中国製タバコや「セブンスター」「ピース」などが市場から消えた。しかし、日本製タバコを愛用していた幹部達は「日本タバコ中毒」になっており、不満の声が出ているという。

1994年には、正日氏も外国産タバコ禁止令を出したことがあったが、彼自身が英国産タバコの「ロスマンズ」を愛用していたことが知られてうやむやになったことがあった。

金正日の元料理人だった藤本健二氏によると正恩氏は、10代半ばからタバコを吸い銘柄はイブ・サンローランを好んだというが、現在は北朝鮮製の「7.27」を吸っている様子が確認されている。

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