2014年は北朝鮮において、市場経済がいっそう活性化された年として評価することができる。物価が比較的安定し、新しい市場も誕生。住民らは市場システムをより深く体得した。2014年に北朝鮮の市場で最も人気の高かった商品5種を、次の通り選定した。

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北朝鮮産の天然水(資料写真)

【5位 不動産】党幹部や新興富裕層が未来のために投資

中国と国境を接する貿易都市・平安北道新義州市で、高層マンションが盛んに建設されている。この事業を進めているのは政府の建設部ではなく、外貨稼ぎ会社が施工から分譲までを担っている。建設資材のセメントと鉄筋のほとんどは、中国の丹東から新義州税関を経て調達されている。

マンションの骨格がある程度できあがると、党や行政の幹部と新興富裕層が買い占めに乗り出す。この場合、党幹部よりも司法機関の幹部の方が優勢なようだ。各種の不法行為に目をつぶりながら、賄賂を貯め込んでいるためと思われる。新興富裕層は、家族や親せきの名義で数世帯分のアパートを買いこみ、賃貸したり転売したりする。

彼らが不動産に投資するのは、北朝鮮の不透明な将来に備えるためで、こうした動きを受けて一部地域の不動産市場が活性化している。

【4位 天然水】健康食品としてブームに

無添加の湧水も市場の人気商品となった。深い山の中の泉が健康に良いという噂が広がり、健康食品として認識されたのだ。少しの工夫で、ありふれたモノが金儲けのタネになることに人々が気付いたことの証左と言える。

?平安南道で販売されている天然水は、北朝鮮の通貨でリッター当たり600ウォン(0.7米ドル)。決まった容器はなく、5リットルのポリタンクなどに詰めて3000ウォンで売っている。中国製のミネラルウォーターが500ミリリットルで1300ウォンであるのと比較すると、4分の1以下だ。

【3位 ピザ】地方都市にも登場。値段は1枚3万ウォン

地方都市で、「オコノミ総合チヂミ」と呼ばれるピザが売り出された。平安南道順川市の大同江沿いに位置する「綾羅(ルンラ)88貿易会社」の食堂で、2013年12月に初めて登場。「オコノミ」は、かつて在日朝鮮人が持ち込んだ「お好み焼き」の名が転じたものと思われる。「総合チヂミ」は、おそらくコンビネーションピザを表す北朝鮮独自の言葉だ。

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平壌のピザ店(Andrew Cheng氏撮影)

豚のひき肉を使ったメニューの人気が多く、値段は3万ウォン(約35米ドル)。新興富裕層が週末に楽しんでいるほか、庶民は結婚式や誕生日のような祝いの場で食べているという。

?「綾羅88貿易会社」の食堂で作られる総合チヂミの食材は、中国から直輸入されている。需要が増えるに従い、党や行政の外貨獲得機関だけでなく、個人経営の飲食店でもピザを販売しているようだ。

【2位 車のパーツ】「お金になる商品」の筆頭

2014年に入り、車の部品は「お金になる商品」として認識されるようになった。北朝鮮で「お金になる」という言葉は、投資した資金がすぐに回収でき、再投資を繰り返しながら短期間で新興富裕層にのし上がれることを意味する。

車の部品を販売している業者は、小型トラックや大型トラックはもちろん、バイクのパーツまですべて扱う。

小型トラックは、主に石炭や引っ越しの荷物、市場の在庫商品などを運ぶときに使われる。免許証がなくても運転できるため、引越しの多い春や、寒さに備える秋に都市部で人気が高まる。小型トラックのほかにも、オートバイに手作りの荷車を連結させた運搬車両もある。

この他、バスや大型トラックの個人所有も増加。国営運輸会社も正規ルートでの部品の供給が途絶えていることから、総合市場での車の部品販売は活況を呈し、車種ごとの分業化が起きるなどの発展を見せ、売上高も増加している。とくに、オートバイによるヒトやモノの輸送が男性の新たな職種として流行していることを受けて、オートバイの部品販売が大きく増えた。

?【1位 コメ】市場で最も多く流通

平安道、咸鏡道、両江道をはじめとするほとんどの地域で最も多く流通しているのは、現在もなおコメである。北朝鮮がいまだに、「食べることが最優先」の社会であることを示している。今年は比較的米の価格が安定していたため、関連する食品製造業などもやや増加したようだ。

?コメの価格が上下すると、食品製造業者や飲食店主は、価格を上げ下げするよりも提供する料理の量や製品のサイズを調節して収支を合わせている。

?かつて、一般の人々にとっては白米自体がぜいたく品の時代もあったが、最近ではクッパ(スープごはん)がよく食べられるようになり、市場の商人たちは家路に就く際に間食用の餅などを買ってゆく余裕も出てきたようだ。

餅は腹もちが良いため、小麦粉で作るパンよりもよく売れている。ただしコメの価格が上がれば、パンや菓子の方がよく売れることもある。なお、コメ1キロの価格は12月末現在、平安南道で5000ウォン、咸鏡北道で5600ウォンとなっている。

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