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彼女らの視線を追い、ロビーに据え付けられたテレビの画面に目を向けると、朝鮮映画の硬質な色彩とは明らかに異なる隠微な絵が浮かんでいた。“洋モノ”のポルノの一場面である。画面はすぐに切り替わったが、金髪女性のあられもない姿がハッキリと見えた。

おおかた、総連の人間から差し入れられたビデオだろう。こっそり愉しんでいた船員が機器の操作を誤り、客室のテレビに流してしまったのだ。

しばらくは笑い話として方々で吹聴したが、時間とともに忘れてしまっていた。それが昨年になり、こんな他愛ない出来事を思い起こさずにはいられないニュースが流れた。楽団ポルノ事件。かつて金正日総書記の寵愛を受けていた銀河水(ウナス)管弦楽団と旺載山(ワンジェサン)軽音楽団の団員らが「淫乱録画物(ポルノ)」を制作した罪に問われ、処刑されたとするものだ(関連記事)。

北朝鮮において、「ポルノ」を観ることが罪になるのは知っていた。平壌の映画関係者らが、やはり外国から入手したビデオの秘密上映会を開き、社会安全部だか国家安全保衛部だかに踏み込まれたという事件についても聞いていた。

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