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北朝鮮政府が鳴り物入りで始めた「平壌10万戸建設」

ところが財政難で建設はストップ。後は、民間にやらせるという。建前として住宅は国が作る北朝鮮では異例の事態だ。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると「金持ちに資材を持ってくれば勝手に建てていいと当局が許可を出した」とのことだ。

北朝鮮初の民間マンション?

平壌10万戸建設事業は、金正日時代の2009年に始まった。2012年完成を目標に兄弟山(ヒョンジェサン)、龍城(リョンソン)、牡丹峰(モランボン)、普通江(ポトンガン)、寺洞(サドン)、楽浪(ランラン)の13の区で建設が始まった。当時は「2012年強盛大国の門」を大きく開くものとされていた。

しかし、慢性的な財政難で建設は当初から難航。平壌中心部に近い万寿台(マンスデ)の倉田(チャンジョン)通りの建設を金正日の指示で優先することになり、高級幹部の利権が絡まない郊外の住宅建設は中止された。

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内部情報筋はその裏事情を次のように伝える。

「結局、国ができなくなったら個人に勝手に建ててもいいと言い出した」

「建設を奨励するために収入の半分は国に収めて残りは利益にしていいという指示を出した

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「建設に必要なセメントと材料は『勝手に調達しろ』と言われた」

「それでもマンション販売を目論んで複数の新興富裕層が関心を見せている」

実際にマンション建設に飛び込んだ新興富裕層もいる。10階建ての計画だったものを20階建てにするなど、利益を出すために様々な方法を使っている。

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「寺洞では7月末から工事が再開された。資材もきちんと投入されている」

「国から労働力の配分はないので、企業所の社長や新興富裕層は工事作業員を募集して報酬を支払って仕事をさせている」

経済の主導権を失いつつある北朝鮮政府

当局が「平壌10万戸住宅」の建設を個人に許可したのは、市場化の急速な発展で従来の社会主義計画経済が意味を失いつつあるという証拠だ。市場の周辺の商店や百貨店も個人経営になりつつあるのも同じ意味合いだ。

当局はこの事業を「金正恩の業績」として宣伝しようとしていたが、国による建設を諦めたことは無能さを露呈した形となった。庶民たちは冷淡な反応を示している。

「工事が再開されるという話を聞いても開発区域の元住民たちは信用していなかったが、実際に再開されたのを見てようやく安心した」

「庶民たちは国ではなく企業所の社長の投資で再開されたことを『その方がいい』とむしろ喜んでいる」(内部情報筋)

「父(金正日)の大事業を息子(金正恩)が放り出したのは崩壊事故を恐れたのでは?」 「『科学者住宅』のことばかり気にして10万戸のことは知らんぷりなんて理解できない」 さらに半分を建設業者の利益、半分を国に収める方式についても庶民たちは心配している。

「半分を国に納めろとなると業者はその分資材の質を下げるだろう」

「結局、住宅価格が暴騰するのでは?」

「いい家を建てても幹部にタカられて差し出すはめになりそう。どうせ庶民のものにはならないよ」(内部情報筋)