17日から1週間、北朝鮮の崔龍海氏が金正恩第一書記の特使としてロシアを訪問した。

崔龍海は、昨年5月にも特使として中国を訪問した。訪中ではあまり成果が得られなかったが、今回のロシア訪問においては、それなりの成果があったとも言われている。とはいえ、国際的孤立が深刻化している今の北朝鮮の立ち位置からすると、その前途は明るいとはいえない。

北朝鮮が、ロシアへ崔龍海を送った狙い

第一に、北朝鮮は国際的孤立から抜け出さとうとしている。最大の支援国であった中国が北朝鮮に対して冷たい立場だが、国際社会からの制裁によって四面楚歌に追い込まれている北朝鮮が「クリアしやすいハードル」としてロシアを選んだ。

国際社会に対して「我々にも友人がいる」というアピールだ。

崔氏がロシアを訪問している頃、国連で北朝鮮人権問題が議論された。崔氏は、プーチン大統領に北朝鮮の立場を支持することを要請しただろう。事実、ロシアはこの決議案に反対の票を投じた。

第二に、北朝鮮は「反米姿勢」をさらに強めるだろう。ロシアはウクライナ問題で国際社会の制裁を受けた。7月のマレーシア航空機撃墜事件などをきっかけに、米国と対立している。ロシアは、中国とともに北東アジアに対する米国の影響力を弱体化させるために先頭に立っている。 米国や国際社会の制裁という「同病相憐」を経験している北朝鮮とロシアの意図は、反米、抗米戦線の強化である。

第三に、非核化に関しては、中国よりは融和的な立場のロシアと核問題を議論するための意図が見られる。中国の「環球時報」は19日、ロシア外交部がイタルタス(ITAR-TASS)通信に「崔龍海特使は、ロシア高官と平壌の核計画問題について議論するだろう」と報道している。北朝鮮とロシアの間で、北朝鮮の核保有国の承認問題に関するロシアの協力と、6カ国協議の無条件再開案などが議論されたと推定される。

今後も強まる対米、対南戦略

結論的に、崔龍海のロシア訪問は、国際的孤立から脱出する意図と同時に米国に対するアピールだった可能性が高い。いわば、核兵器を放棄しないという暗黙の宣言であり、南北関係の改善を通じた韓国との経済協力を求めない意思を示したとも見られる。

つまり、北朝鮮の対南戦略はさらに挑発的な形になるかもしれない。

国連で人権決議案の採択以後、北朝鮮は4回目の核実験の強行を示唆。さらには、韓国大統領府に対して公然と威嚇している。最近の現地指導で、金正恩氏は、「敵に対する幻想は死あるのみ」と話したが、住民に米韓に対する憎悪を刻みつけようとする狙いがある。しかし、この言葉は、北朝鮮に幻想を持つ韓国国民にふさわしい言葉かもしれない。

来月には、北朝鮮人権決議案の国連総会上程と安保理付託の問題もある。金正日氏の命日(12月17日)や、新年1月8日には金正恩氏の誕生日など北朝鮮にとっては、重要な日程が予定されているだけに、北朝鮮に対して緊張を緩めてはならない。

北朝鮮の本質を理解せず、彼らに対して幻想を持つのは、我々の不幸と没落をもたらすだろう。

(ムン・スンボ世宗研究所研究委員)