金日成にとって抗日武装闘争で培われた連帯意識こそが、権力闘争を勝ち抜くための最大の武器だった。解放直後の熾烈な権力闘争のなかで、敵対グループを粛清し、政権を掌握する過程で「抗日パルチザン系」の自発的な忠誠心は重要な役割を果たした。
しかし、一見、強固になった金正恩の周辺に自発的な「忠誠グループ」があるようには見えない。自発的な忠誠心とは、困難な時代を共に経験したことから生まれる「感情」だからだ。金正恩の周辺に群がる人物がこのような「感情」を持っているかどうかは疑わしい。
金正恩体制が本当に安定するかどうかは金正恩自身が彼に忠誠を捧げる「忠誠グループ」を構築できるかにかかっている。
(アン・ジョンシクSBS政治部次長)