北朝鮮で干ばつの影響によって水力発電所が十分に稼働せず、農作業に悪影響を及ぼしている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は「稲の収穫期を前にして協同農場に電気が優先供給されているが、電圧が低いためモーターがまともに回らない。稲の脱穀すら満足に出来ない状態」と伝えてきた。

北朝鮮で一般的に使用される脱穀機用の電動機は220Vだが、供給されている電力は120〜130Vで故障するケースがある。修理には約1週間かかり、脱穀のタイミングを逃して稲が放置されて痛むなどの被害も出ているという。

中国製発電機で対処

このため、協同農場では農作業のために中国製の10〜12馬力のディーゼル発動機を購入して対処している。1990年代から輸入されはじめた中国製小型ディーゼルは、当初は、主にイカ漁の小型漁船のエンジンとして使用されていた。ところが、脱穀機用としての需要が増えたことにより価格は上昇。昨年9月の時点では約50万〜70万ウォンだったが、今では100万〜150万ウォンと2倍以上に跳ね上がり、入手困難となっている。

現在の米価格(1キロ=約4500ウォン)から換算すると米200〜300キロ分で、労働者5人家族の年間消費量に相当する価格だ。(※6日のレート:1ドルに8400ウォン)

また、中国製発動機の需要が増加したことにより、軽油価格も上昇した。軽油1キロの価格は1万ウォンだったが、最近では1万5000ウォンに跳ね上がりガソリン価格と同じ価格になっている。

電力不足と燃料価格の上昇という悪循環が続くなか、協同農場では夜間(比較的住民が電気を使わない)に脱穀作業をして農作物を市場で売りさばき、その利益で中国製の小型発動機と軽油を購入する。

農場員たちからは、「国からの電力はないのと同じだ」という不満の声が聞こえてくる。

電力不足を認めた労働新聞

電力不足については、北朝鮮当局も認めている。?7日付の労働新聞は「国全体が立ち上がり水確保の戦いを力強く繰り広げよう」と題した社説で以下のように述べている。

「ここ100年で今年ほど降水量の少なかった年はなかった」「その結果、水力発電所の発電量が減少。多くの農業用貯水池が干上がり、貯水量が少なく、来年の農業に使う水が絶対的に不足している状態だ」

電力不足を認めているにもかかわらず、首都・平壌ではイルミネーションなど見栄えを良くするために大量の電力が浪費されている。農場員の不平・不満の声が出てもおかしくはない。