musan
茂山の全景

北朝鮮は今年深刻な電力難に陥っているが、その影響が深刻なレベルに達している。 数日前からは茂山(ムサン)鉱山の操業が完全にストップしている。

脱穀で電気使い、鉱山動かせない

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は 「今年の水力発電所の発電量は昨年の半分にも満たない」

「このような状況でも茂山鉱山だけは部分的に操業を続けていたが、数日前から完全に止まってしまった」

「今まで供給されていたわずかばかりの電気も協同農場の脱穀場に全部回したため、茂山鉱山の鉄鉱石生産が中断された」

「鉄鉱を基本原料として使っている金策(キムチェク)製鉄所と城津(ソンジン)製鋼所の銑鉄、鋼鉄生産にも多大なる支障が生じている」

春の干ばつの影響で北朝鮮の主な発電所は稼働と中断を繰り返した。慢性的な電力難は庶民の暮らしに影響を及ぼし、茂山鉱山の操業中断に至った。

苦境の北朝鮮、足元を見る中国

茂山鉱山は北朝鮮最大の鉄鉱山で、推定埋蔵量は約30億トン、生産能力は年650万トンに達すると言われている。掘り出された鉄鉱石は金策製鉄所と城津製鋼所に供給されて銑鉄と鋼鉄生産に使われる。

中国との貿易が活性化した2000年代初頭より北朝鮮は一日数千トンの鉄鉱石を茂山の「チルソン税関」と豆満江に架けた「水中橋」を使って中国に輸出してきた。北朝鮮の貿易で大きなシェアを占める鉄鉱生産の中断により中朝貿易が非常事態に陥ると内部情報筋は見ている。

内部情報筋は内情を次のように伝える。

「先月まで鉄鉱石1トンあたり50ドルで輸入していた中国企業が価格引き下げ要求を突きつけてきた」

「しかし、この要求を北朝鮮が受け入れようとしなかったので中国は税関を閉めて鉄鉱輸入を中断させてしまった」

「この状況では当面の間鉄鋼生産を中断せざるを得ない」

国際市場で鉄鉱石の価格が2011年から下落し続けている状況で輸出ルートを見つけるのは容易ではないと思われる。鉄鉱生産がいつ再開されるのか予測できないと内部情報筋は伝えている。韓国銀行のある地域本部が最近発表した資料によると、今年も国際市場での鉄鉱石価格下落が続いており1トンあたり82ドルまで急落した。

内部情報筋は茂山鉱山の従業員たちと家族の心配の声を伝えてきた。

「鉄鉱輸出で何とか続けられていた配給も途絶えるのではないか」

「配給が途絶えたら現場の技能工は生きていくために商売でもやろうとするだろうが、そうなると鉱山の被る損失はより一層大きくなるだろう」

    関連記事