2006年8月下旬、沙里院から平壌に向かう道路上で、安全員(警察官)とトラックの運転手がけんかしている様子(画像:デイリーNK)
2006年8月下旬、沙里院から平壌に向かう道路上で、安全員(警察官)とトラックの運転手がけんかしている様子(画像:デイリーNK)
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北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)で今月7日、商人たちが集団で抗議を行う事態が発生した。その一部始終を現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

市内の南門(ナムムン)市場の管理所の幹部は今年10月、市場の売台と屋根を新しくするとの名目で商人から、コメ3キロ分にあたる3000北朝鮮ウォンを徴収した。その後、会寧市当局が「市内すべての市場を(旧会寧南中学校の敷地にできた)新会寧市場に統合する」との方針を示したが、管理所は徴収した3000北朝鮮ウォンを返さないまま、市場を強制撤去した。それに怒った商人たちが集団で抗議を行った。

情報筋によると、今月22日に抗議に関わった商人たちは保安署(警察署)を押しかけ解決案を出せと抗議を行った。騒ぎが拡大するのを恐れた保安署と管理所は、1ヶ月間露店を出すことを許可することで合意した。

「抗議に参加した人の数が多く集団的な動きを見せたため、保安員たちは慌てていた。問題を大きくしてはならないとの表情だった」(情報筋)

その後、南門市場の撤去作業は終了し、50人ほどの商人が敷地の周辺で露店を広げ商売を行っている。一連の抗議行動で逮捕者は出ていない。

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韓国在住の脱北者は、「市場の商人が市場管理人と喧嘩して事務所におしかけてくることはたびたびあったが、100人あまりが集団で抗議し、シュプレヒコールを叫ぶのは見たことがない」として驚きを見せている。

北朝鮮国民が生活と絡んだ問題で当局と摩擦を引き起こす事例は今までもあったが、今回のように集団抗議にまで発展したのはかなり異例だ。「かつて配給体制の下で国にすべてを頼っていた時代とは変わった」(脱北者)とのことだ。

デイリーNKが公開した別の動画には、民間人が保安員や兵士の胸ぐらをつかんでいるのを、周りの人たちがなだめる様子が映っている。当局や軍の権威が、1990年代の大飢饉「苦難の行軍」以前と比べていかに失墜したかを示している。同時に、北朝鮮国民は自らの生活の問題を自らの力で解決しようとする意思を持つようになったことも示している。

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情報筋によると、新会寧市場は南門市場からかなり離れているため、商人のみならず近隣住民の不満も大きい。今後、同様の事態が起きた場合、政府がいかに対処するか関心を持っていると情報筋は述べた。