▲錦繡山太陽宮殿3階の遺体安置室にある金日成のミイラ。/デイリーNK資料写真

金日成逝去20周忌を迎えた北朝鮮では、住民の間で「金日成のミイラ」が腐敗しているとの噂が再度拡散していると8日、内部消息筋が伝えてきた。消息筋によると、1日から10日までと宣布された金日成逝去哀悼期間を迎え、遺体が安置される「錦繡山太陽宮殿」を参観した住民の中からこうした話が出ている。

両江道の消息筋は同日、デイリーNKとの通話で「生計維持で忙しい住民は、普段は話さないが4月15日(金日成の誕生日)と7月8日(金日成の逝去日)ごろになると、自然と関連した話をする。先週『錦繡山太陽宮殿』を参観するついでに平壌に行って来た住民を通し(金日成の遺体)腐敗の話が出回っている」と話した。

北朝鮮は1994年7月、金日成が逝去した翌日の9日、全住民に死亡のニュースを伝え哀悼期間を宣布した。同月12日、朝鮮中央TVは金正日が党・軍・政の責任幹部らを連れて金日成の遺体を惨敗する姿を通し遺体を初めて公開。その後一般住民への参拝も強要した。

消息筋によると、こうした北朝鮮当局の参拝強要がむしろ副作用を量産する形態を見せているという。長期にわたり参拝を続けたきた住民の間では、「首領様(金日成氏)の皮膚がしぼんだ」「頭など体格が縮小した」「黒色の部分が多くなるなど色も変わった」などの遺体腐敗説が出ている。

幹部らの間では「タラの干物が小さくなるように水が抜けているのでは」という直接的な言及も見られ、当局も頭を悩ませている。「金日成の遺体腐敗」に対する噂が今日明日に始まったことではなく広範囲に拡散している状況で、当局の取締りは容易でないと消息筋は伝える。

消息筋は「一般住民より情報が多い幹部らはあからさまには話さないだけで裏ではこうした話をしている。(当局は)こうした奄ノ対し『(ミイラは)元々小さくなるもの』という説明しかできずにいる」と話した。

金日成神格化のために制作されたミイラが少しずつ変形し「偉大な首領様は我々と常にともにいらっしゃる」という宣伝・扇動も住民には今や通用しないという事実が端的に見て取れる。金氏一族に対する偶像化宣伝に注力する北朝鮮当局だが、金日成のプロパガンダ(宣伝)も容易でない状況にあることを示している。

合わせて遺体が腐敗するのを防止するため、莫大な費用が消費されているとの事実が住民に広まり、金日成のミイラに対する非難がますます増えているという。

住民は「(金日成のミイラ)腐食を防ぐための薬剤が想像もつかないほどの大金がかかる。肉が腐らない薬を外国から輸入し使用しているが、その額は我々が一生触ることの出来ない大金」と話しては不満を吐露しているという。

平壌市大城区域ミアム洞に位置する「錦繡山太陽宮殿」に安置される遺体は「エンバーミング」という技術を利用して防腐処理が施されており、生前の姿をそのままに保存する。専門家ごとに意見は異なるが、死体を保存する過程で100万ドル(約11億ウォン)が必要であり、持続的な管理費用として年間80万ドルが追加で必要だという。

こうした内容をもとに金日成の遺体が永久保存され始めた1994年から現在までを計算すると、北朝鮮当局は20年間で計1700万ドル(約200億ウォン)の費用を遺体管理につぎ込んできたことになる。

消息筋は「生計が苦しい住民は、遺体が腐ることを心配するよりも、そこにかかる費用が多いために自分たちの生活が苦しいとの不満を抱えている。会議や講演会で『元帥様(金正恩氏)一家に対し知ろうともせず、たとえ知っていたとしても話をするな』と脅し口調で強調するために口に出さないだけ。もし処罰や監視がひどくなければ、おそらく『死体には大金をつぎ込み、生きている住民には一銭も渡さないという天罰を受ける行為を行っている』と非難するだろう。7月であるためほとんどの家庭は食糧が底をつき生活が厳しい。それでも幹部らは処罰を恐れ、住民を無条件に哀悼行事に参加させている。こうした行事(金日成の哀悼行事)のために『毎年死んだ人間のために生きている人間が苦労する』という不満が出ている」と話した。

北朝鮮は毎年金日成の誕生日(4月15日)と逝去日(7月8日)を前後し、全体住民に哀悼期間を宣布。同期間中は金日成の功績を称えるなど、各種政治行事が実施され住民も強制的に動員される。

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